人生は威厳ある老いへの旅朝日新聞朝刊 1999.1.9 成人式の振りそでの若者たちを見て、思わずため息をつくようになると「中高年」の仲間入りだろう。生あるものの必然である老いを醜いものと感じて沈み込む人がいる。一方、七十歳を過ぎても「バイアグラ」を欲しがる人もいる。老いもまた、ストレスの原因にな...
有名人多数、うつ病に悩んだ朝日新聞朝刊 1999.1.23 かつて内因性精神病といわれたうつ病は、ストレス社会も関連してこの三十年で六倍に増加した。近年は、何をもって内因性というのか再検討されている。 うつ病は、英語でディプレッションという。不況の意味もある。「ザ・グレート」がつくと1929年...
適切な助言難しい嫁姑問題朝日新聞朝刊 1999.1.30 姑(しゅうとめ)の意地悪で眠れなくなった、と不眠を訴え、受診のたびに悪口をさんざんしゃべって、すっきりした表情で家路につくお嫁さんがいる。 きつい嫁のせいで同居が辛い。「家まで建ててあげたのに」と思うと寝つけない、と受診するお姑さんも...
感染症の恐怖と闘う人たち朝日新聞朝刊 1999.2.6 感染症学と精神医学は縁遠いと思われがちだが、脳も感染症に侵されるし、疫病が人々をパニックに陥れるという点からも無関係ではない。 精神病院に入院すると梅毒検査が必須(ひっす)の時代があった。その梅毒がほぼ克服され、かわりにエイズ脳症が注目...
「逆境」対策に周囲の支えも朝日新聞朝刊 1999.2.13 いじめられて不登校になり、家に引きこもっていた患者が、夜中にビルから身を投げた。文部省は昨年十二月、いじめの発生報告件数は愛知県が最多だったと発表した。 いじめの形態は、直接的な暴力から中傷、陰湿な無視まで様々だ。学校ではいじめ、親か...
害なき妄想、責められぬが・・・朝日新聞朝刊 1999.2.20 学生時代に精神病院を訪問したときのことだ。インテリ風の紳士が近寄って来て、「わたしは一級建築士で、町中の有名な建物は全部設計した。そのうちエンパイヤステートビルより高いのを建てる。まあしっかり実習したまえ。」と言って立ち去った。その迫力と...