top of page


感染症の恐怖と闘う人たち
朝日新聞朝刊 1999.2.6 感染症学と精神医学は縁遠いと思われがちだが、脳も感染症に侵されるし、疫病が人々をパニックに陥れるという点からも無関係ではない。 精神病院に入院すると梅毒検査が必須(ひっす)の時代があった。その梅毒がほぼ克服され、かわりにエイズ脳症が注目...


「逆境」対策に周囲の支えも
朝日新聞朝刊 1999.2.13 いじめられて不登校になり、家に引きこもっていた患者が、夜中にビルから身を投げた。文部省は昨年十二月、いじめの発生報告件数は愛知県が最多だったと発表した。 いじめの形態は、直接的な暴力から中傷、陰湿な無視まで様々だ。学校ではいじめ、親か...


害なき妄想、責められぬが・・・
朝日新聞朝刊 1999.2.20 学生時代に精神病院を訪問したときのことだ。インテリ風の紳士が近寄って来て、「わたしは一級建築士で、町中の有名な建物は全部設計した。そのうちエンパイヤステートビルより高いのを建てる。まあしっかり実習したまえ。」と言って立ち去った。その迫力と...


効果と副作用、薬は「両刃の剣」
朝日新聞朝刊 1999.2.27 クスリを逆さに読むとリスク(危険)だ。薬は両刃の剣である。 政治や経済の試行錯誤は許容されても、医療ではそうはいかないのが現実だ。しかし無謬(むびゅう)神話でしばられると、大部分の医師は処方をやめてしまうかも知れない。...


快と不快を併せ持つ賭け事
朝日新聞朝刊 1999.3.6 ギャンブルの魅力は、一夜にしてでも大金持ちになる夢が持てることだ。しかし、人は大金が入るとなぜか散財し、勤勉という文字が脳裏から消える。一度でも勝利の味を覚えると、年収の五倍、十倍と負けがかさんでも、いつか取り返せると、はかない夢を抱いて賭...


熱意見せぬ友 揺らぐ医学生
朝日新聞朝刊 1999.3.13 医学生のM君が、眠れないと相談に来た。二十代の若者が入眠障害に陥るには、よほどの葛藤(かっとう)があるに違いないと思って話を聞いた。 M君は「みんな患者さんに貢献するために、真剣に学問に励んでいるに違いない」と考えて入学した。ところが周...
bottom of page