リスボンに誘われて(2012年、独逸・瑞西・葡萄牙)過去と現在を交錯させながら、歴史の彼方に埋もれていた真実を、面接風に丁寧に暴いて行く作風で、リスボンの美しい町並を背景に人々の生き様を詩情豊かに描いた作品、『リスボンに誘われて』を紹介しよう。 瑞西の大学教授ライムント(ジェレミー・アイアンズ)は、出勤途上で、吊り橋から...
ロビン・ウィリアムズの死を悼む二〇一四年八月十一日、パーキンソン病の初期にロビン・ウィリアムズが六十三歳で突然旅立った。僕の大好きな俳優だった。天才落語家桂枝雀を想起させる大胆でハイテンションなマシンガン・トーク。比類なき言葉の魔術師だった。見事な即興、物真似、声真似で知られ、『グッドモーニング,...
神様がくれた娘(2014年 印度)知的障がいを描いた印象に残る作品。「アイアムサム」(二〇〇一年、米国)(スタバで働く7歳の知能しか持っていない中年男性サムがホームレスの女性が出産した娘ルーシーと幸せに暮らしていた)、「ギルバート・グレイプ」(一九九三年、米国)(アイオワの田舎町でレオナルド・ディカプリオ演...
母の身終い(2012年 仏蘭西)高齢社会で二人に一人が癌で死亡する時代。認知症を発症すると難しいが、「終活」に取り組むことになる。経済不況を反映して貧困化は進み、犯罪も確実に増加する。麻薬の密売で1年半服役した中年男アランは、折り合いが悪い母イヴェットの家に身を寄せる。イヴェットはそんな息子を黙って受け入...
恋するリベラーチェ(米国2013)一九七七年の夏。天賦の才を持つ名ピアニストにして、舞台では奇抜で超派手な衣装に身を包み、観衆を虜にするエンターテイナー・リベラーチェ(マイケル・ダグラス)のもとに、ハンサムな青年スコット・ソーソン(マット・デイモン)が訪れる。二人はたちまち恋に落ち、秘められた愛が始まる。リ...
眠れる美女(伊太利亜・仏蘭西 2012年)「何より害をなさぬこと」(ヒポクラテス)の格言にもあるように、医療は万能ではない。手塚治虫は「ブラックジャック」でドクター・キリコ(安楽死の請負人)が登場させていたが、医療の限界を十分に認識していたからだ。安楽死は「不治かつ末期」で「耐えがたい苦痛」を伴う病を持つ人、尊厳死...