旅人は夢を奏でる(フィンランド 2012年)「旅人は夢を奏でる」と題する作品は、とても地味なロードムービーだ。生みの親でも育ての親でも父親は母親には叶わない。 肥満の老人が突然旅に出る。ピアニストとして成功を収めたティモが深夜に帰宅すると、玄関前に1人の老人が大いびきで眠り込んでいた。ティモが三歳の時に家族を捨て...
クロワッサンで朝食を(仏蘭西・エストニア・白耳義 2012年)老いは生物にとって必然だ。銀幕の名優も例外ではない。一九二八年生まれのジャンヌ・モローの存在感溢れる作品が「ティファニーで朝食を」をもじった作品(原題は「パリの淑女」)だ。 エストニアで子育てと母の看病に追われ初老期に入ったアンヌは、二年間の介護で母を見送る。抜け殻のよ...
『ロイヤルアフェア 愛と欲望の王宮』(丁抹 2012年)007・カジノロワイアルの悪役をご記憶の方はおられるだろうか。そのマッツ・ミケルセン演ずる優秀な医師にして、王室に取り入り黒幕となり、国家近代化を目論むが、悲しくも潰えさる。時は米国独立宣言の頃、仏蘭西革命の十年余り前、十八世紀後半の丁抹(デンマーク)が舞台だ。 ...
『パパの木』 (濠太剌利・仏蘭西 2010年)© photo : Baruch Rafic - Les Films du Poisson/Taylor Media - tous droits reserves - 2010 島国の日本人には、家一軒丸ごとトレーラーに載せて大平原を爆走する光景は驚嘆だ。今回紹介する...
『きっと、うまくいく』 (インド 2009年)いま、ボリウッドが面白い。原題は”3 idiots”、3馬鹿トリオ。とはいえインド最高の工科大学ICE200名の中での話だ。3人の入学には、インド社会を象徴する背景があった。写真家志望なのに父親に技術者の道を強要されたフィルハーン、貧困家庭の再生を託されたラージュー、そして...