病の配偶者、支えられるか朝日新聞朝刊 1999.6.05 「亭主元気で留守がよい」とか「粗大ゴミ」と言われたこともあった。妻が健康であることが前提だった。妻が風邪で二、三日寝込んでも家庭は大混乱だ。その妻が心臓病や精神病になったら、夫のストレスは並大抵ではない。 ...
突然のボケ 家族もぼうぜん朝日新聞朝刊 1999.6.12 いつもの野良仕事に出かけた初老の主婦は、夕方になって帰り道がわからなくなった。一晩さまよい警察に保護されたが、夫の名前すら忘れていた。側頭葉内側部から始まった病変が頭頂葉まで広がったためだ。物心ついて半世紀余、次々と獲得してきた知恵が根底か...
企業内セクハラ、日米で違い朝日新聞朝刊 1999.6.19 「ブスだね」「太ったね」が禁句なのは常識だが、「最近きれいだね」「どうして髪切ったの」「まだ結婚しないの」と、つい口にする男性はまだ多い。 セクシュアル・ハラスメントは、性的不快感を与えることで、被害者の受け止め方の問題とみられがちだが...
異郷の地で働く人々の思い朝日新聞朝刊 1999.6.26 ブラジルから来た青年はハイテク工場に勤めていたが、作業中に突然奇声を発し、被害妄想的にもなったため、精神科を受信した。曾祖父(そうそふ)の代に南米に移住し、コーヒー園で成功したが、経済状況の悪化で家族と日本に戻った。 ...
世俗の幸福を超越した知恵朝日新聞朝刊 1999.7.3 欲望が満たされないと不安になるし、富や愛や健康を失うと憂うつになる。世俗の幸福は、何か一つが欠けただけでもストレスになるのが人間だ。とはいえ、不登校で自室にこもっていた若者が突然、解き放たれたように人生の意味や世界の平和を語り出すと、精神科医...
精神病ケア、現状は家族頼み朝日新聞朝刊 1999.7.10 「地球の底から生まれて来た。破滅しそうな地球を救うために自分は神になった」。妄想型精神病で長期入院中の五十代の男性患者はこう話す。 入院する前は、家業の鉄工所を手伝っていたが、父親が亡くなって工場を閉鎖してからは、仕事に戻る気もない。 ...