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ウォール街(米国 1987年)

  • 執筆者の写真: kayukawa-clinic
    kayukawa-clinic
  • 6 日前
  • 読了時間: 2分

愛知保険医新聞刊


 若手証券マンであるバドは、貧乏人から巨万の富を築いたゲッコーをいつか追い抜こうという野望に燃えていた。ある日、バドはゲッコーのオフィスを訪れ、航空会社のインサイダー情報を提供することの見返りに証券売買注文を引き受けることに成功する。


 二人の関係はより密となり、営業と顧客という関係から、家族に近い関係へと発展する。その後、バドとゲッコーは株式買占めによる航空会社の買収を計画する。しかし


バドの父親は金儲けのための企業の乗っ取りは獣以下だと強硬に反対する。ゲッコーの狙いは航空会社を解散し、航空機や従業員の年金だった。


 労働の喜びとともに誠実に生きた父を見たバドは、自分のあさましさに目覚める。バドはゲッコーが航空会社の買収を画策していることを公にする。市場はすぐ反応を示し、航空会社の株価はわずか一日で約五〇%も増加する。大物投資家に買い取ってもらい航空会社の存続を実現することで、ゲッコーへの復讐に成功する。 マネーゲームで富を増やす機関投資家の強欲さと非情さと卑劣さを見事に描いた作品だが、資本主義の枠内での企業救済という描き方は甘い。


 世界大恐慌の再来の渦中にある現在、カジノ資本主義が実体経済に影響しない法的規制が必要だ。百五十年以上前のエンゲルスの「労働者は恐慌の犠牲で失業し、それまで許されていた僅かなものさえ奪われる。この状態でどうして貧しい人々が健康でいられるのか?」という言葉からも、医師も茨の道を余儀なくされることは明白である。

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