モダン・タイムス(1936年 アメリカ)
- kayukawa-clinic
- 5月23日
- 読了時間: 2分

愛知保険医新聞刊
チャップリンの名作「モダン・タイムス」は、大恐慌下で生きることの厳しさと悲劇を物語る。
職工チャーリーは、毎日の単調な仕事を続けている内に、気がおかしくなって乱暴を働き入院となる。全治したが工場はクビになり、医者には興奮は禁物だと注意された。とぼとぼ街を歩いていると暴動の群集に捲込まれて、赤旗を持って先頭に立たされた彼は首謀者と見なされ投獄されるが、無罪が判って放免される。チャーリーは造船場で職を得たが、不慣れな仕事で直ぐ解雇され、もう一度監獄へ戻る方法はないかと思案し始める。飢えた不良少女が食物を盗んで警官に捕ったのを見たチャーリーは、直ぐ無銭飲食をして警察へ引立てられた。牢へ送られる途中でチャーリーは少女と顔を合わせる。二人は示し合わせて逃亡を図る。それからこの二人はどんなことがあっても別れない仲となった。百貨店の夜警に雇われたチャーリーは、やっと好きな仕事を見付けたと喜んだのも束の間、最初の晩に散々泥棒に荒らされ彼も嫌疑を受けて投獄された。出て来ると少女はキャバレーの踊り子になって働いていた。彼女の推薦で彼もそこの店で給仕をして歌うことに。ところがそこへある日現れた客はかつて少女を感化院へ入れようと探していた若い役人だった。チャーリーは娘を連れて逃げ出した。そして間もなく楽しげに、流浪の旅に出る二人の姿がThe End となっている。現代的生産現場から落ちこぼれ、監獄でしか衣食住を満たせない姿は、大恐慌がもたらした悲劇である。
刑務所が増設され公立病院が統廃合される今日、医療は不況に強いなどと間抜けな時代認識ではいけない。
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