
愛知保険医新聞刊
世界大恐慌の最中1930年代の暗黒街の中心地シカゴでは血を血で洗うギャング同士の争いが連日起こっていたが、一方その道のエリートと自認する連中の中には、暴力沙汰を軽蔑し、頭脳で相手を出し抜くことを粋とする風潮があった。1973年の作品「スティング」は、その知能犯=詐欺師たちの物語である。1936年シカゴに近い下町で道路師と呼ばれる詐欺師三人が通りがかりの男から金を奪った。数日後、首謀者のルーサーが死体となって見つかった。仕掛けた男はニューヨークの大親分ロネガンの手下だった。大組織に手を出した当然のむくいとしてルーサーは消されたのだが、組織の手は一味の一人フッカー(ロバート・レッドフォード)にものびていた。ルーサーの復讐を誓ってフッカーはシカゴのゴンドルフを訪ねた。親友の死を知ったゴンドルフ(ポール・ニューマン)は相手がロネガン(ロバート・ショウ)と聞き、ロネガンの身辺を洗い、彼がポーカーと競馬に眼がないことを調べ上げた。ゴンドルフは急ぎ昔の仲間を集め、シカゴの下町にインチキノミ屋を構えた。フッカーは、ロネガンに、ゴンドルフの経営するノミ屋に電送されてくる競馬中継は、決着済みの馬券だけを買えるから絶対損はしないと儲け話を持ち込んだ。ロネガンは欲に目がくらみ、五十万ドルの大金を注ぎ込むことにした。レースが始まった瞬間、ノミ屋にFBIが踏み込み、店内は大騒ぎになり、ロネガンはFBIに連行された。すべてがゴンドルフの書いた筋書きで、ゴンドルフとフッカーは見事ロネガンを再起不能な状態に陥れ、殺されたルーサーの敵討に成功するのだった。高齢者を騙す振り込め詐欺は許せないが、大金持ちの悪人を大勢の弱き人々が力を合わせて騙す作品「スティング」は、なぜか心地よい。くれぐれも儲け話には、ご注意を!
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