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書評『睡眠のなぜ?に答える本 もっと知ろう!やってみよう!!快眠のための12ポイント』

  • 執筆者の写真: かゆかわクリニック院長 粥川裕平
    かゆかわクリニック院長 粥川裕平
  • 7月10日
  • 読了時間: 4分

更新日:8月26日

睡眠医療Vol.13 No.1 2019



監修:

公益財団法人 神経研究所 睡眠健康推進機構 機構長,

医療法人社団絹和会 睡眠総合ケアクリニック 代々木 理事

大川 匡子

公益財団法人 神経研究所 精神神経科学センター センター長

高橋 清久

発刊 ライフ・サイエンス

2019年



本書は、睡眠健康推進機構の大川匡子機構長と前機構長の高橋清久博士の監修、日本睡眠学会理事長の内山真先生をはじめ、睡眠学・睡眠医療の各分野の専門家による分担執筆になっている。


その趣旨は “はじめに” の冒頭に記された「質の良い睡眠は今日の疲れを癒し、明日への活力を生みます」という監修者の言葉にすべてが集約されている。


さらに “Ⅰ章 そもそも、なぜ人は眠るのが” で、監修者は「皆さんは、なぜ睡眠が大切なのか、考えたことはありますか?」と問いかけ、睡眠の積極的意義について語っている。「昔の人々は、夜行性の動物に襲われたり、畑を荒らされる心配や、治安が悪くて泥棒の危険などがあるために、心配で目が冴えてしまい、眠っていられなかったようなのです」と、現代とは異なる環境において睡眠がどのようなものであったのかが紹介され、デメント博士の「家族睡眠起源説」を思い出す。睡眠は、常に社会の変化によって大きな影響を受けてきたのである。


また、目次の前には厚生労働省の「健康づくりのための睡眠指針2014」を “快眠のための12ポイント” として示し、 “第Ⅱ章 あなたの眠りを見直す【睡眠12箇条】” において、同指針が作られた元となる医学的知見を踏まえながら、良い眠りのためのポイントを各分野の専門家がわかりやすく、語りかけるように解説を加えていく。第6稿では「睡眠環境」への配慮、第11稿では「専門家に相談すべき睡眠障害」についての基礎知識ももれなく組み込まれている。


続いて、 “Ⅲ章 睡眠について知っておきたいこと” では、「1.加齢と睡眠、認知症との関連」、「2.睡眠薬の正しい飲み方と止め方」、「3.健康食品やサプリメントの睡眠効果」、「4.睡眠薬以外の不眠の治療法」、「5.シフトワークで働く人の睡眠対策」、「6.“もしも”の災害時、睡眠を守るためにできること」、「7.睡眠に良い運動」など、日々睡眠で悩む人にとっての最大関心事に的確な情報が提供されている。


ところどころに “睡眠物知リコラム” を入れて、読み手を飽きさせないようにという構成もよい。


①「寝る子は育つ」というけれど、睡眠と成長ホルモンはどうかかわっているの?、②子どもが朝寝坊で困っています。朝食をとらせるいい方法はありませんか?、③ “寝なくても平気な人”って、本当にいるの?、④寝だめはできないの?、⑤動物の睡眠時間はどうなの?、⑥自分で作れる快眠グッズ、⑦出張先や旅行で環境が変わると眠れなくなるのはなぜ?⑧睡眠と勉強(記憶)の関係はありますか?、⑨日本の睡眠問題、お金にしたらどれくらいの損失?、⑩ぐっすり眠り、気持ちよく起きるためのポイントは?、⑪就寝前のリラックスのポイントを教えて!!、⑫夢遊病、レム睡眠行動障害、ナルコレプシー、悪夢障害について教えて!!、⑬睡眠について相談するときのポイントは?また、どうやって専門家を探したらいいの?など。


「そういえば、なぜなんだろう?」といった素朴な疑間が取り上げられているが、実際に試してみたい情報から、会話で使える物知りネタまで、各執筆者の個性が表れている。


本書は「働き方改革」や「過労死防止」などが国民的課題となつている現代日本で、スマホや夜勤や寝酒によって快眠が奪われている現状に警鐘を鳴らす「眠り方改革」を提言する、まさに時宜に適った啓発書である。


成長期の子どもをもつ保護者、保健・教育機関の関係者、企業の安全衛生担当者、高齢者施設や在宅ケアに携わるスタッフの皆さんにぜひお読みいただきたい一冊といえる。


また、今後は本書を糸口にして、性差睡眠医学(女性の性周期と睡眠、うつ病、認知症、睡眠時無呼吸症候群の性差と睡眠障害)などの啓発が望まれると同時に、世界の睡眠基礎研究をリードする筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構とも連携して、睡眠健康に最適な学校の始業時刻、睡眠健康に最適な学習塾などの終業時刻の提言なども期待したい。




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