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最高の人生をあなたと(2011年 仏・白耳義・英吉利)

愛知保険医新聞刊


 熟年離婚が流行の昨今、今春公開の映画「最高の人生をあなたと」は、セレブのアラカン世代向けの示唆に富む作品だ。


 アラカン世代共通の心理でもあるが、自分の居場所を模索するメアリーを軽やかに演じるのは、イングリッド・バーグマンの娘・イザベラ・ロッセリーニ。夫アダム役には、「蜘蛛女のキッス」でオスカーを獲得し、鼻持ちならない医師が自ら病人となって初めて患者の痛みを知る「ドクター」を演じたウィリアム・ハート。


 英吉利人の母と伊太利亜人の父を持つメアリーは、建築家として世界的な名声を博するアダムと、ロンドンの街で三十年に及ぶ結婚生活を送ってきた。三人の子供たちはすでに独立し、孫にも恵まれたメアリーは、突然彼女を襲う“記憶の空白”をきっかけに、夫婦の“老後”を考えたとき、ふとした疑問が心に芽生える。


 「私の人生って何?」高級ブランドのドレスを身にまとい、ゴージャスに着飾っても、一向に晴れない。なぜなら皺もなく筋肉運動もシャープな若くて美しい娘たちには、外見も運動能力も明らかに劣るのだ。それが老いというものだが老いの受容が出来ず、自己発見の心の旅が続く。孤立と疎外に悩むメアリーと、若いスタッフとの美術館設計に情熱を燃やすアダム。円満だった夫婦の仲は裂け目と隔たりが強まり、会話すら成立しない。離婚寸前で、三人の子供たちがメアリーとアダムの絆の修復を試みる。メアリーの母親が逝去し、事態は急展開。死が二人を分かつ前にプッツンしそうな熟年夫婦には必見の作品だ。

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