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母の身終い(2012年 仏蘭西)

 高齢社会で二人に一人が癌で死亡する時代。認知症を発症すると難しいが、「終活」に取り組むことになる。経済不況を反映して貧困化は進み、犯罪も確実に増加する。麻薬の密売で1年半服役した中年男アランは、折り合いが悪い母イヴェットの家に身を寄せる。イヴェットはそんな息子を黙って受け入れている。老婆と中年男の侘びしい食事風景に幸せ感はない。アランは、神経質で小煩い母を疎ましく思っていた。職が定まらず、恋愛も上手くいかず大げんかの末に家を飛び出すアラン。  ある日、アランは母の薬が入った抽斗で一通の書類を発見する。それは自殺幇助協会との契約書だった。実はイヴェットは脳腫瘍で余命僅かと告知されていた。イヴェットは、“自分らしい人生の終え方”を望んでいたのだった。それを知ったアランは激しく心が揺さぶられる。残念ながら抗癌剤が効きにくいメラノーマは、薬物投与後のCTでも病巣拡大は治まっていなかった。母の主治医に会い、病状の説明を受けたアランは、尊厳死協会との話し合いにも同席し、母の決意の固さを知る。母の「終活」を息子は受容できたのか。残された時間を共にし、やっと向き合えた母と息子。そして最期の朝を迎える。

「いつまでもあると思うな親と○」。患者のみならず総ての人々共通の重い課題だ。わが国でもリビング・ウィルが浸透し始めたが、尊厳死も一様ではないのが、個と人権を尊重する仏蘭西らしい。

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