第三十八回 偉大なるマルグリット(2015年仏蘭西)マダムフローレンス(2016年英国)
- 2024年8月4日
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更新日:4月22日
菱電工機エンジニアリング株式会社
社内報 連載エッセイ「ちょっとブレイクしませんか?」
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人は自分の声や能力を、必ずしも客観的に把握できるわけではない。特に「音楽」や「表現」の領域では、その自己評価と他者評価の乖離が、しばしば滑稽さや悲劇性を生む。映画偉大なるマルグリットとマダム・フローレンスは、実在の音痴歌手をモデルに、純粋な情熱と周囲の思惑が交錯する人間模様を描いている。
前者では、自身の音痴に気づかぬまま歌う女性が、他者の野心によって舞台へと押し出されていく過程が描かれる。後者では、内縁の夫との強い結びつきの中で、「才能」よりも「信じる力」が前景化されていく。いずれも共通するのは、歌の巧拙ではなく、本人の確信と周囲のまなざしが物語を動かしている点である。
音痴という現象は単なる能力の問題ではなく、知覚・運動・認知のズレとしても捉えられる。そこには人間の自己認識の不確かさと、それでも他者と関わりながら生きる滑稽さと温かさが同居している。
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