ガラスの動物園(1987 米国)
- kayukawa-clinic
- 5月14日
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愛知保険医新聞刊
世界大恐慌の渦中で生きる富や愛とも無縁な貧しい家族の物語。テネシー・ウィリアムズの同名の戯曲の映画1950年版のリメイクで、監督はポール・ニューマン。音楽はヘンリー・マンシーニ。
セントルイスの裏街にたたずむ荒れ果てたアパートに、船員姿のトム(ジョン・マルコヴィッチ)がやってくる。世界大恐慌の嵐に見舞われた1930年頃、暗い家庭の空気を嫌って海に飛び出したトムは、ある朝見張台に立って過ぎし日を回想した。
セントルイスの裏街に住むウィングフィールド一家は、母アマンダ、二つ年上の姉ローラとともに細々と暮らしていた。昼はデパートで働き、家でもアルバイトをしている母親のアマンダの手がよく行き届いていて、つましいながらも温かく落ちついていた。だが倉庫の事務員をし、映画が大好きで詩を書くことに生きがいを求めている息子のトムは、道徳家で子供たちには口うるさい母親をけむたがり喧嘩ばかり。一方足が不自由で極端なはにかみ屋で、ガラス細工の動物の手入れしている時が最も幸せだという姉のローラに対しては、いたわりの目をもっていた。母の頼みもあって、トムは家に同僚の青年を招待する。彼こそローラが高校時代に胸ときめかせたあこがれのジムだった。食事の直後、家中が真っ暗になった。ロウソクの灯の下で、ジムはローラに劣等感をはね返せと口づけをして励ます。しかしジムには既に婚約者がいた。
トムはいま長い放浪生活から帰ったが、家には母や姉の姿はなく苦い思い出だけ。侘しさや切なさに苛まれ、ささやかな楽しみの「ガラスの動物園」さえ壊されたのだ。
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