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適切な助言難しい嫁姑問題

  • 執筆者の写真: kayukawa-clinic
    kayukawa-clinic
  • 2022年1月12日
  • 読了時間: 2分

更新日:4月7日

朝日新聞朝刊 1999.1.30  姑(しゅうとめ)の意地悪で眠れなくなった、と不眠を訴え、受診のたびに悪口をさんざんしゃべって、すっきりした表情で家路につくお嫁さんがいる。

 きつい嫁のせいで同居が辛い。「家まで建ててあげたのに」と思うと寝つけない、と受診するお姑さんもいる。

 メンタルクリニックは現代の駆け込み寺のようで、時代を映す鏡となっている。しかし、嫁姑の問題は、夫婦げんか同様に適切な助言が出来ないことも少なくない。

 映画『タイタニック』で、お高くとまった貴族たちを前に、レオ君をサポートする成り金婦人を演じたキャシー・ベイツは『フライド・グリーン・トマト』(1991年)という奇妙な題の作品で、この「嫁」に匹敵する役を演じている。

 キャシーは老人施設に入っている夫のおばを、半ば義務感で定期的に訪ねる。夫はテレビのスポーツ選手に夢中で、妻を顧みない。ストレスがたまってチョコレートバーを食べる。食べると太る。女性の自立教室などにも通ってみるが、ついチョコバーに逃げてしまう。

 キャシーはふとしたきっかけで、オスカー女優のジェシカ・タンディ演じる入所中の老女の話に耳を傾けるようになる。その老女が「ミツバチに好かれる女」と呼ばれ、若かったころの南部の田舎町の物語だ。黒人差別や慣習にとらわれない自然人としての生き方を聞くのが訪問の楽しみになる。影響を受け、言いたいことを言ってみる。

 しだいに夫と対等に渡り合える見違えるような主婦に成長していく。もともと、ふてぶてしささえ感じさせる執念、押しの強さを演じたらはまり役なのがこの女優だ。

 血のにじむような忍耐と努力で家を支えてきた「おしん」世代の嫁が老人になり、戦後民主主義で育った嫁と折り合わなくなって久しい。

65歳以上の人口が3分の1を超えるとされる2020年を待つまでもなく、当事者にとっては大問題だ。

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