

書評『職場結合性うつ病』加藤 敏 著
『職場結合性うつ病』は、精神疾患と職場環境との関係を長年の臨床経験に基づいて論じた、加藤敏 による意欲作である。従来、うつ病や双極性障害は主として内因性の疾患と考えられ、職場環境との関連は十分に議論されてこなかった。本書は、過重労働や職場でのストレスが発症に深く関与する「職場結合性うつ病」「職場結合性双極障害」という概念を提示し、多くの自験例をもとに新たな視点を示している。精神病理学や精神分析学に造詣の深い著者は、労災委員や研究者としての経験も踏まえ、既成概念にとらわれない臨床的考察を展開する。過労死等防止法の施行以降、働く人のメンタルヘルスへの関心は一層高まっている。本書は、精神科医だけでなく、産業医やプライマリ・ケア医を含め、勤労者を診療するすべての医師に新たな視点を与えてくれる一冊である。


























