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院長コラム
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院長はこれまで、新聞連載や寄稿記事、専門誌、企業の社内報など、さまざまな媒体で執筆を続けてきました。
映画や文学を題材としたエッセイをはじめ、こころの健康や精神疾患、人間関係、社会問題などについて、それぞれの媒体の読者に向けて発信してきました。時代や読者層が異なっても、人間のこころへの関心は一貫しています。
このページでは、これまでに掲載されたコラムを媒体ごとにまとめています。それぞれの媒体でどのようなテーマが語られてきたのかをたどりながら、お読みいただければ幸いです。


第五十九回 全地球史アトラス フルストーリー(2021年 You Tube)
『全地球史アトラス フルストーリー』(2021年公開・YouTube)は、地球誕生から生命進化、人類文明、そして地球の未来までを最新の地球科学と進化生物学の知見をもとに描いた壮大な科学映像である。太陽系の形成、プレートテクトニクス、生命の誕生と大量絶滅、カンブリア紀の生命大進化、恐竜の絶滅、人類の出現、農業革命から情報革命まで、約46億年に及ぶ歴史を一つの物語として理解できる構成になっている。
イソップ寓話「造船所のイソップ」を導入に据え、人類の文明や技術も地球という巨大な自然の営みの中に位置付けられることを示唆する。SDGsや環境問題が問われる現代において、人類の未来を長大な時間軸から見つめ直す契機となる、知的好奇心を刺激する優れた科学コンテンツである。
2 日前


第五十八回 白いカラス(2003年 米国)
『白いカラス』(2003年)は、フィリップ・ロスの小説『The Human Stain(ヒューマン・ステイン)』を映画化した社会派ドラマである。長年、ユダヤ人として生き、大学教授・学部長として成功を収めた主人公は、差別的発言と受け取られた一言をきっかけに社会的地位を失う。その後、ある女性との出会いを通して人生の再生を模索するが、過去の秘密と差別の現実が悲劇を招く。本作は、人種差別やアイデンティティ、偏見が人間の人生に与える影響を鋭く描き出すとともに、「本当の自分とは何か」という普遍的な問いを投げかける。精神的外傷や孤独、社会的烙印をテーマにした、人間理解に富む秀作である。
7月30日


第五十七回 風をつかまえた少年(2018年英国・マラウイ共和国合作)
『風をつかまえた少年』(2018年)は、アフリカ・マラウイ共和国で実際に起きた出来事をもとに制作された感動作である。2001年の大旱魃によって飢餓に苦しむ村で、理科好きの14歳の少年が、図書館で学んだ知識を生かして風力発電機を製作し、井戸から水をくみ上げて村を救う姿を描く。自然災害や貧困、森林破壊、食糧危機など現代社会が抱える問題を背景にしながらも、教育の力、再生可能エネルギー、環境問題、そして人間の創意工夫が未来を切り開く希望を伝えます。イソップ寓話「北風と太陽」と重ねながら、本作が現代社会へ投げかけるメッセージを考察します。
7月23日


第五十六回 サイドエフェクト
スティーヴン・ソダーバーグ監督の映画『サイド・エフェクト』(2013年)は、抗うつ薬の副作用をめぐる事件を軸に、医療倫理、精神医学、製薬業界、そして人間の欲望を描いた心理サスペンスである。インサイダー取引で服役した夫の出所後、うつ病歴のある妻が新薬を服用し、夢遊病状態で夫を刺殺したとされる事件が発生する。しかし、担当医が真相を追ううちに、事件の背後には巧妙に仕組まれた陰謀が浮かび上がる。本作は、精神疾患の診断の難しさや薬物療法のリスクだけでなく、「詐病」や医療過誤、株価操作まで絡めた重層的な物語を展開する。さらに、イソップ寓話「藪医者」を引用しながら、「医療とは何か」「薬との向き合い方とは何か」を考えさせる示唆に富んだ作品である。
7月18日


第五十五回 野いちご (1957年 瑞典)
夢は未来を告げるものなのか、それとも人を惑わす幻にすぎないのか。古代より人間は夢の意味を問い続けてきた。イソップ寓話に語られる「正夢」と「逆夢」の逸話は、その曖昧さを象徴している。映画『野いちご』は、名誉と成功を手にした老医師が、ある悪夢をきっかけに自身の人生を振り返る物語である。旅の途中で出会う人々や、よみがえる過去の記憶を通して、彼はこれまで見過ごしてきた感情や人間関係に向き合っていく。夢と現実、過去と現在が交錯する中で、人生の充足とは何かが静かに問いかけられる。孤独と再生を描いたこの作品は、高齢社会を先取りするかのような深い洞察に満ちている。
1月29日


第五十四回 赤ひげ(1965年 日本)
医師とは何か。その問いは、単なる技術や知識を超え、人間の在り方そのものを問うものである。
イソップ寓話「蛙のお医者」が示すように、自己を顧みず他者を救おうとすることの危うさは、古代から指摘されてきた。
映画『赤ひげ』は、エリート志向の若き医師が、貧困と病に苦しむ人々と向き合う中で、本当の医療の意味に目覚めていく姿を描く。そこでは、医術の限界と同時に、社会の矛盾が生み出す病の現実が浮き彫りにされる。病の背後にある人間の不幸に目を向け、寄り添い続ける覚悟こそが、医師に求められる本質であると静かに語りかける作品である。
2025年12月24日


第五十三回 エジソンズ・ゲーム(2017年 米国)
科学技術の発展は人類の生活を劇的に変えてきたが、その進歩は常に自然との緊張関係の上に成り立っている。
イソップ寓話「造船所のイソップ」は、技術への過信に対する警句として、自然の根源的な力を象徴的に描いている。
映画『エジソンズ・ゲーム』は、19世紀末の電流戦争を題材に、エジソン、ウェスティングハウス、テスラという発明家たちの競争と葛藤を通して、技術覇権と倫理、そして資本主義の論理を浮き彫りにする作品である。
人類の進歩が「誰の技術が正しいか」という競争に還元されるとき、そこには自然という制約と、人間の傲慢さが常に影を落とすことになる。
2025年11月25日


第五十一回 バーフバリ 伝説誕生(2015年 インド)
映画『バーフバリ 伝説誕生』(2015)は、インド神話の英雄譚を思わせる壮大なスケールの歴史叙事映画です。
滝の下の村で育った青年シヴドゥは、幼い頃から滝の上の世界に強い関心を抱き、ついにそこへと到達します。そこで彼は王国を支配する暴君と戦う女戦士と出会い、囚われた王妃の救出という使命に関わることになります。やがて彼自身が王国の正統な血を引く存在であることが明らかになります。
古代の寓話が語る理想の為政者の姿と重ねながら、本作は人々が望む「正しい王」のイメージを躍動的に描き出しています。
2025年9月26日
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