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院長コラム
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院長はこれまで、新聞連載や寄稿記事、専門誌、企業の社内報など、さまざまな媒体で執筆を続けてきました。
映画や文学を題材としたエッセイをはじめ、こころの健康や精神疾患、人間関係、社会問題などについて、それぞれの媒体の読者に向けて発信してきました。時代や読者層が異なっても、人間のこころへの関心は一貫しています。
このページでは、これまでに掲載されたコラムを媒体ごとにまとめています。それぞれの媒体でどのようなテーマが語られてきたのかをたどりながら、お読みいただければ幸いです。


治療法◆害をなすことなかれ
映画『誤診』は、難治性てんかんの子どもを救おうとする母親の姿を描いた作品です。薬物療法が十分な効果を上げず、医師から外科手術を勧められた母親は、別の治療法を求めて行動を起こします。実話に基づく物語を通して、標準医療の限界や、患者と家族の思いに医療者がどう向き合うべきかを考えます。原題の First Do No Harm が示す「何よりも害をなすことなかれ」という考え方から、医療の原点と医師の使命を問い直します。
3 日前


ストレス障害◆戦争の悪夢に縛られる
映画『ディア・ハンター』は、ベトナム戦争によって人生を大きく変えられた青年たちの姿を描いた作品です。戦場で極限の恐怖を経験したニックは、帰国後もその記憶から逃れられず、危険な行為を繰り返します。戦争は、命を奪うだけでなく、生き残った人の心にも深い傷を残します。本作を通して、PTSD(心的外傷後ストレス障害)における再体験という症状や、戦争体験がその後の人生に及ぼす影響について考えます。戦争の悲劇を戦場だけの出来事として終わらせず、帰還後も苦しみ続ける人々の存在に目を向ける映画評論です。
10月27日


重圧◆父の支配を脱して自立
映画『シャイン』は、天才ピアニストのデビッド・ヘルフゴットが、父親の強い期待と支配に苦しみながら、やがて自分自身の人生を取り戻していく姿を描いた作品です。親の愛情と支配は、どこで分かれるのでしょうか。才能を伸ばすことと、子どもの人生を親の望む方向へ導こうとすることは同じではありません。本作を通して、親子関係と自立、そして人が自分らしく生きることについて考えます。
10月20日


復讐◆最も罪深い行為は何か
映画『スリーパーズ』は、少年院で虐待を受けた少年たちが、14年後にかつての看守への復讐を企てる物語です。幼少期に受けた暴力や性的虐待は、少年たちのその後の人生を大きく変えていきます。やがて被害者だった彼らは、復讐という形で再び暴力に手を染めることになります。加害者と被害者、罪と罰、復讐と正義――それぞれの境界は決して単純ではありません。過去の傷を抱えた人間が、どこまで自分の行為に責任を負うのか。そして、最も罪深い行為とは何なのか。ボビー神父が苦悩する姿を通して、人間の罪と赦し、虐待と犯罪の連鎖について考えさせられる作品です。
10月13日


愛は強い◆戦地に咲く一途な思い
ロベルト・ベニーニ監督・主演の『人生は、奇跡の詩』は、イラク戦争下のバグダッドを舞台に、愛する人の命を救おうと奔走する一人の詩人の姿を描いた作品です。詩人で大学教授のアッティリオは、別居中の妻ヴィットリアを忘れられず、毎晩のように彼女との結婚式を夢見ています。そんなある日、ヴィットリアがバグダッドで戦争の爆撃に巻き込まれ、危篤状態になったとの知らせが届きます。アッティリオは危険を顧みず現地へ向かい、薬も医療設備も乏しい状況の中で、彼女の命を救おうと奔走します。戦争の悲惨さを背景に、家族愛と人間愛、そして「愛する人を守りたい」という一途な思いの力を描いた作品です。
10月6日


希望◆ホームレスの2人の夢
『聖者の眠る街』は、ニューヨークの路上で暮らす二人のホームレスの友情を通して、人間の尊厳と希望を描いた作品です。ベトナム帰還兵で家族とも別れたジェリーと、統合失調症を患い、親からも見放された若者マシュー。社会から孤立した二人は、互いを支えながら、アパートを借りて商売を始めるという夢を語り合います。やがてマシューは、ホームレスの人々の中にある美しさを写真に収め始めます。厳しい現実の中でも、人は友情や支え合いによって希望を取り戻すことができる。作品が描く「希望と自由と尊厳を失わない限り、人は美しい存在である」というメッセージは、現在にも通じるものがあります。
9月29日


悪魔◆欲望や感情に打ち勝って
映画「セブン」は、キリスト教の「七つの大罪」を題材にした連続殺人事件を描くサイコスリラーである。高慢、嫉妬、暴食、色欲、怠惰、強欲、憤怒という七つの欲望や感情を、殺人という極端な形で描き出していく。退職間近の刑事サマセットと血気盛んな新人刑事ミルズが犯人を追う中、犯人ジョン・ドゥは、法を守る刑事でさえ「憤怒」にとらわれれば殺人を犯し得ることを、自らの犯罪計画によって証明しようとする。映画が描くのは、単純な「善と悪」の対立ではない。人間の心には欲望や怒りが存在し、それとどう向き合うかという問題である。また、犯罪が起こると安易に「心の闇」や異常性で説明しようとする社会の姿勢にも疑問を投げかける。人間を「悪魔」のような存在として決めつけるのではなく、その背景を理解しようとすることの大切さを考えさせる作品である。
9月22日


障害の理解◆認知を広めた名演技
映画『レインマン』は、自閉症という障害への理解を広く社会に伝えることに貢献した作品である。中古車ディーラーのチャーリーは、父の死をきっかけに、自分には存在すら知らされていなかった兄レイモンドと出会う。自閉症のため施設で暮らす兄を、当初は遺産目当てで連れ出したチャーリーだったが、長い旅を共にする中で、兄の独特な行動や高い記憶力、その背景にある人間性を少しずつ理解していく。やがて幼い頃に自分を守ってくれた「レインマン」の正体が兄だったことを知り、チャーリーの兄に対する見方も変化していく。ダスティン・ホフマンの名演技は、自閉症の人の姿を社会に印象づける大きな役割を果たした。障害を「異質な存在」として見るのではなく、一人の人間として理解し、ともに生きるとはどういうことなのかを考えさせる作品である。
9月15日
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