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院長コラム
—掲載媒体から探す—
院長はこれまで、新聞連載や寄稿記事、専門誌、企業の社内報など、さまざまな媒体で執筆を続けてきました。
映画や文学を題材としたエッセイをはじめ、こころの健康や精神疾患、人間関係、社会問題などについて、それぞれの媒体の読者に向けて発信してきました。時代や読者層が異なっても、人間のこころへの関心は一貫しています。
このページでは、これまでに掲載されたコラムを媒体ごとにまとめています。それぞれの媒体でどのようなテーマが語られてきたのかをたどりながら、お読みいただければ幸いです。


快と不快を併せ持つ賭け事
人はなぜ「一発逆転」という幻想に惹きつけられるのだろうか。ギャンブルは単なる娯楽ではなく、勝利の高揚と敗北の苦痛が交錯する強烈な体験である。その刺激は脳の快・不快の回路を揺さぶり、時にアルコールや薬物と同様の依存状態を引き起こす。映画『のるかそるか』(1989年)や『ディーラーズ』(1989年)は、庶民のささやかな賭けから金融の巨大な投機まで、異なるスケールでの“賭け”を描き出している。そこに共通するのは、勝てば解放、負ければ破滅という極端な振幅であり、人間の欲望と不安がむき出しになる構造である。安全で安定した生活を望みながらも、同時に危険な賭けに心を奪われる――その矛盾こそが現代人の内面を象徴している。
2025年3月18日


かけ事に依存、退学寸前に
目標を達成したあとに訪れる空虚感は、ときに思いがけない方向へ人を導きます。達成感の裏側で、次の目標を見失ったとき、人は刺激や興奮を求めて別の対象にのめり込むことがあります。
本稿では、ギャンブル依存と「アパシー・シンドローム」という観点から、学業や仕事から逸脱してしまうこころの動きを考えます。映画『オスカーとルシンダ』を手がかりに、快楽と自己実現のバランスの難しさについて考察します。
2025年1月20日


「ちょっと一杯」もほどほどに
日常のストレスを和らげる手軽な方法として、「一杯飲む」習慣は広く受け入れられている。しかしその手軽さの裏には、依存へとつながる危険性が潜んでいる。特に家庭内での孤独やストレスが重なる場合、飲酒は気づかぬうちに生活の中心へと入り込みやすい。
アルコール依存症は、世界的にも重要な精神医学的問題であり、日本でも数多くの患者が存在するとされる。習慣的な飲酒は睡眠障害や身体疾患だけでなく、家族関係の破綻にも直結することがある。
映画男が女を愛する時では、アルコール依存に陥った妻と、それを支えようとする家族の葛藤が描かれる。愛情と絶望が交錯する中で、当事者だけでなく周囲の理解と支援の重要性が浮かび上がる。
2024年10月17日


第三十九回 オスカーとルシンダ(1997年 米国)・のるかそるか(1989年 米国)
一獲千金の夢を抱かせるギャンブルは、人間の欲望と深く結びついた行為である。今回取り上げるのは、オスカーとルシンダとのるかそるかという対照的な二作品だ。前者は信仰と愛を賭けた壮大な物語の中で、賭博の危うさと人間の執着を描き、後者は競馬に魅せられた男の姿を通して、滑稽さと人間らしさを浮き彫りにする。
賭けに勝てばさらなる欲望が生まれ、負ければ取り返そうとする。この連鎖こそがギャンブルの本質であり、一度のめり込めば抜け出すことは容易ではない。現代ではカジノ構想なども議論されているが、その是非を考えるうえでも、これらの作品は重要な示唆を与えてくれる。娯楽としての魅力と社会的リスク、その両面を見つめる視点が求められている。
2024年9月9日


分かっちゃいるけど◆刺激求めギャンブル投入
「一攫千金」という甘い夢は、多くの人を惹きつける。しかし、その裏側には人間の脳の仕組みに根ざした強い依存性が潜んでいる。のるかそるかは、競馬にのめり込む主人公を通じて、ギャンブルの本質とその危うさを描いた作品だ。
勝つか負けるかという極端な結果と、その過程で生まれる期待や興奮は、脳の快楽中枢や新規探究心を強く刺激する。たとえ偶然の勝利であっても「次も当たるかもしれない」という感覚が繰り返され、やがてやめられなくなる。これは単なる意志の弱さではなく、心理的・生理的なメカニズムに基づく現象である。
「分かっているのにやめられない」という状態は、強迫性障害にも通じる側面を持つ。現代社会において、ギャンブルとの適切な距離感をどう保つかは、個人の問題にとどまらず、重要なメンタルヘルスの課題となっている。
2024年7月10日


酒は百薬の長か◆体むしばまれる依存症
「酒は百薬の長」と言われる一方で、過剰な飲酒は命を脅かす深刻な依存症へとつながる。映画 失われた週末 は、アルコール依存症に陥った主人公の転落を通して、その恐ろしさをリアルに描いた作品だ。飲酒は一時的な快楽やストレス解消をもたらすが、やがて心身の両面で依存を形成し、生活のすべてが酒中心に変わっていく。耐性の形成により飲酒量は増え、仕事や人間関係が崩壊していくのも特徴である。さらに、離脱時には幻覚やせん妄といった重い症状が現れ、命に関わることもある。「やめたいのにやめられない」という状態は、単なる意思の問題ではなく、病としての理解が必要だ。現代では治療法も進歩しているが、依然として多くの人が苦しんでいる。飲酒との向き合い方が問われる時代である。
2024年5月29日


人生を破壊…薬物依存は「病」
「意志が弱いからやめられない」と思われがちな薬物依存だが、その本質は個人の性格ではなく、脳と心理に深く関わる“病”である。映画 バスケットボール・ダイアリーズ は、平凡な高校生が非行から薬物へと転落していく過程を描き、依存の恐ろしさと現実を突きつける。最初は軽い興味や誘いから始まった行動が、やがて習慣化し、強い欲求へと変わっていく。脳の快楽系が刺激されることで、「もう一度」という欲求が繰り返され、理性では止められなくなるのだ。さらに、背景には家庭環境やストレス、孤独といった要因が重なりやすい。依存は単なる逸脱ではなく、適切な支援と治療が必要な状態である。問題を個人の責任に押しつけるのではなく、社会全体で支える視点が求められている。
2024年5月22日


第二十三回 アンジェラの灰(1999年 米英)
アンジェラの灰は、貧困と家庭の問題の中で成長する少年の姿を描いた作品。イソップ寓話と重ねながら、変わることの難しさと、それでも人生を切り開こうとする力に光を当てます。日常の中に潜む習慣の重さを見つめ直す一篇です。
2023年3月13日
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