鉄人◆難病にも立ち向かった
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中日新聞朝刊 2006.08.18
今年のセントラルリーグは、中日ドラゴンズが好調で、私の住む名古屋の街は沸いています。甲子園も白熱する今、野球映画を紹介しましょう。 鉄人ルー・ゲーリッグの人生をゲーリー・クーパーが演じた「打撃王」(1942年、アメリカ)は、古き良き時代のメジャーリーグの雰囲気を伝える作品です。
ニューヨーク・ヤンキースのゲーリッグといえば、本塁打王ベーブルースとコンビを組み「史上最強の三、四番コンビ」と恐れられました。通算打率は実に三割四分。1934年には三冠王にも輝きました。それ以上に知られているのが、二千百三十試合連続出場の大記録です。
貧しい家庭で育った彼は、とても努力家で、家族思いの人で、ファンからもチーム仲間からも敬愛されていました。映画は、彼の栄光への道や、結婚、愛情豊かだけれど口うるさい母親とのやりとりなどを丁寧に描いていきます。驚くことに本作品にベーブルース本人も出演しています。
しかし、好調はいつまでも続くとは限りません。三十八年のシーズン後半、突然病魔が襲います。スパイク靴のヒモをほどけなかったり、道路の縁石につまずいたり、手足が思うように動きません。
低下した打率は翌シーズンも復活せず、ついに自ら監督に申し出て、連続試合出場の記録に終止符を打ちます。その二年後、彼は三十七歳の生涯を閉じました。
鉄人を襲ったのは、筋萎縮性側索硬化症(ALS)という病気で、別名「ルー・ゲーリッグ病」と呼ばれています。運動を支配する神経が少しずつ失われ、体中のあらゆる筋肉がやせていき、徐々に身体を動かせなくなる難病です。
それでも、彼は最後まで鉄人でした。映画のラストは引退式典のシーン。「皆さんには心配ばかりかけました。私は世界で一番幸せな人間だと思っています。」のメッセージが心に染みます。 謙虚な人柄、飛び抜けた成績、病苦に雄々しく向かい合った姿を通じて、ルー・ゲーリッグは不滅のスターになりました。



