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院長ブログ


精神科医も心の休養が必要
人の心を支える仕事は、ときに自らの心をすり減らす。医療、とりわけ精神医療の現場では、患者の苦悩に向き合い続けることが、知らず知らずのうちに大きな負担となる。「燃え尽き症候群」という言葉が示すように、献身的であるほど心身の限界に近づいてしまう現実がある。映画『おつむてんてんクリニック』(原題『What About Bob?』)は、休暇中の精神科医が患者に振り回される姿をコミカルに描きながらも、医師と患者の関係性の歪みや、支える側の脆さを浮き彫りにする。支援する者にもまた支援が必要であるという視点は、現代のメンタルヘルスを考える上で欠かせない。
2025年4月14日


人生は威厳ある老いへの旅
老いは避けることのできない人生の帰結でありながら、多くの人にとって受け入れがたい現実でもある。若さや活力を価値とする社会の中で、老いはしばしば衰えや喪失として捉えられる。しかし、老いとは単なる終わりではなく、これまでの人生を見つめ直し、意味づける時間でもある。野いちごは、老学者が旅の中で過去と向き合い、記憶と現実が交錯する中で自己を再認識していく姿を描く。死を意識するからこそ浮かび上がる人生の本質――老いとは、威厳をもって生を引き受けるための最後の旅路なのかもしれない。
2025年4月10日


有名人多数、うつ病に悩んだ
うつ病は特別な人だけのものではない。むしろ、時代や環境、そして個人の感受性の中で誰もが向き合い得る心の状態である。かつて「内因性精神病」と呼ばれたうつ病は、ストレス社会の進行とともに増加し、その理解も変化してきた。音楽家のピョートル・チャイコフスキーや政治家のウィンストン・チャーチルのように、歴史に名を残す人物たちもまた、うつと向き合っていたとされる。映画心のままには、躁うつの揺れ動く精神状態を描きながら、人間の心の不安定さと、それでも生きていく営みを浮き彫りにする。うつは単なる弱さではなく、人間の深い内面と結びついた現象でもある。
2025年4月9日


適切な助言難しい嫁姑問題
家族という最も近い関係ほど、感情の摩擦は複雑になる。嫁と姑の対立は、単なる性格の不一致ではなく、世代、価値観、そして生活の積み重ねが交差する問題でもある。そこでは「正しい助言」が必ずしも機能するとは限らず、むしろ語ることでしか保てない均衡が存在する。映画フライド・グリーン・トマトは、閉塞した日常の中で抑圧された女性が他者の語りに触れることで、自らの生き方を取り戻していく過程を描く。声を上げることと、誰かの声に耳を傾けること。その間にある揺らぎこそが、家族関係の現実を映し出している。
2025年4月8日


感染症の恐怖と闘う人たち
感染症は単なる医学的問題ではなく、人間の心理や社会の構造そのものを揺るがす現象でもある。ウイルスや細菌は身体を侵すだけでなく、恐怖や偏見を通じて人と人との関係性にも深い影響を与える。フィラデルフィアは、エイズをめぐる差別と法的闘争を通して、社会がいかに「見えない恐怖」によって倫理を揺るがされるかを描いた作品である。感染症は医療の問題であると同時に、人間の価値観や社会的包摂のあり方を問う試金石でもある。恐怖と向き合うとは、病そのものだけでなく、それを取り巻く社会のまなざしとも対峙することなのだ。
2025年4月7日


「逆境」対策に周囲の支えも
いじめや虐待、孤立といった逆境体験は、個人の心に深い傷を残すことがある。その影響は一時的なストレスにとどまらず、不登校や引きこもり、自傷行為など、長期的な生活機能の低下へとつながることも少なくない。しかし、同じような逆境を経験しても、回復に向かう人とそうでない人が存在する。その差を生む要因の一つが「周囲からの支え」である。スティーヴン・スピルバーグ監督の映画『カラーパープル』は、暴力と抑圧の中に置かれた女性が、わずかな人間関係のつながりを支えに再生していく過程を描いている。逆境そのものを消すことはできなくとも、それを乗り越える力は関係性の中で育まれることが示唆される。
2025年4月4日


害なき妄想、責められぬが・・・
人間の心は、現実そのものだけで構成されているわけではない。むしろ現実を補うかたちで、誇大な自己像や願望充足的な物語が生み出されることがある。精神医学における妄想は、必ずしも不安や苦痛を伴うとは限らず、むしろ本人にとっては極めて確かな現実として体験される場合もある。1995年の映画『ドンファン』では、数多くの恋愛遍歴を語る男と、それを受け止めきれない精神科医の姿が描かれ、虚構と真実の境界が揺さぶられていく。こうした「信じたい物語」は、時に周囲に混乱をもたらす一方で、害を伴わない限りにおいては、人間の想像力や希望の一形態として理解することも可能である。
2025年4月1日


効果と副作用、薬は「両刃の剣」
医療は人間の苦しみを和らげ、回復へと導くために発展してきた。しかしその一方で、治療そのものが新たな苦痛や副作用を生み出すという現実もまた存在する。「クスリ」を逆さに読めば「リスク」であるという言葉は、その本質を象徴している。朝日新聞の論考は、精神科医療を中心に、薬がもたらす光と影を描き出す。映画『レナードの朝』を題材に、長く眠り続けた患者が薬によって一時的に目覚める奇跡と、その後に訪れる副作用による揺り戻しを通じて、医療が抱える根本的なジレンマを浮き彫りにしている。治療とは単なる成功や失敗ではなく、人間の時間と尊厳を揺さぶる連続的な営みであることが示されている。
2025年3月24日
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