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何とか越えたい中年危機
朝日新聞朝刊 1999.10.2 定年が迫り、経営陣に入る夢も消え、がく然と肩を落とした紳士が深い絶望と抑うつを訴えて外来を訪れた。娘たちが嫁ぎ、夫婦水入らずで温泉めぐりでもしようと考えていた矢先に夫を心筋梗塞(こうそく)で亡くした妻は、パニック発作を伴ううつ状態で「生...

法曹界、中立では済まぬ苦悩
朝日新聞朝刊 1999.10.9 数百倍の難関の司法試験を突破し、法曹界入りする人々は、その後も苦労の多い仕事が続く。テレビ映画の名作『ペリー・メイスン』シリーズを見ると、地道な調査と裏付けのための情報収集が判決を左右するかぎであることがよく分かる。弁護士にしても検事に...

かけ事に依存、退学寸前に
朝日新聞朝刊 1999.10.16 難関の医学部入学という目標を達成して、すっかり無気力になった青年の心をとらえたのはマージャンだった。それなりの闘争心もわき、知的な駆け引きもある。絶えず脳を刺激し、脳はいつまでも満足しないので、やめられない魅力と魔力がある。 ...

病気を乗り越えて輝き再生
朝日新聞朝刊 1999.10.23 世界的著名人で躁うつ病だとみられる人は、三百人を超えて数えられる。しかし、精神病の著名人となると、残念ながらまれだ。 問わず語りに野球、サッカー、書道、珠算などで活躍した経験を語るときの精神病の人たちの目は輝いている。彼らも病気に...

神と精神世界、そして世俗考
朝日新聞朝刊 1999.10.30 はっとするような思いがけない出会いが、精神病院にもある。庭の片隅で四葉のクローバーを十四も見つけたとうれしそうにほほ笑んでいた初老の女性は「意地汚い人々にさんざんだまされ、愛想が尽きた。世の中がもう少しまともになるまで、病院で隠居して...

暦の節目、新たに生きよう
朝日新聞朝刊 1999.12.18 1000年代も残り二週間足らず。一年余り続いたこの連載も最終回。さみしいような、一つのけじめになりそうな、奇妙な気分だ。 この数年の映画には『アルマゲドン』『インディペンデンス・デイ』のように終末に直面した世界を描く流れがあった。...
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