病気を乗り越えて輝き再生朝日新聞朝刊 1999.10.23 世界的著名人で躁うつ病だとみられる人は、三百人を超えて数えられる。しかし、精神病の著名人となると、残念ながらまれだ。 問わず語りに野球、サッカー、書道、珠算などで活躍した経験を語るときの精神病の人たちの目は輝いている。彼らも病気にかか...
神と精神世界、そして世俗考朝日新聞朝刊 1999.10.30 はっとするような思いがけない出会いが、精神病院にもある。庭の片隅で四葉のクローバーを十四も見つけたとうれしそうにほほ笑んでいた初老の女性は「意地汚い人々にさんざんだまされ、愛想が尽きた。世の中がもう少しまともになるまで、病院で隠居している...
暦の節目、新たに生きよう朝日新聞朝刊 1999.12.18 1000年代も残り二週間足らず。一年余り続いたこの連載も最終回。さみしいような、一つのけじめになりそうな、奇妙な気分だ。 この数年の映画には『アルマゲドン』『インディペンデンス・デイ』のように終末に直面した世界を描く流れがあった。とこ...
ペットの存在が心の支えに朝日新聞朝刊 1999.12.11 StartFragment 特にナースは、いつも患者さんの身近にいる。医師が助けられることが多い。ナースをはじめとする医療従事者に大きく依存する日本の医療の現状も、冗談では語れない。 ...
心にも傷残す「最古の商い」朝日新聞朝刊 1999.11.27 敗戦後に進駐軍相手の売春婦になり、精神的にぼろぼろに傷ついて発病した患者は、「夫はマッカーサーだ」と誇らしげに語っていた。もちろん夫というのは事実ではない。たぶん人生の「傷」とする思いが強く、その相手が無名の米軍人ではプライドが許さなかっ...
復しゅう心にひそむ攻撃性朝日新聞朝刊 1999.11.20 最近、リベンジという言葉をよく聞く。報復という意味だ。報復殺人と言えば恐ろしい行為のようだが、原因があって、その仕返しをするという意味では、分かりやすい犯罪だ。いかに常軌を逸した残虐な行為であっても、計画的な犯罪だけに、責任能力がなかった...