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書評『新型コロナ最前線 自治体職員の証言2020-2023』

  • 執筆者の写真: かゆかわクリニック院長 粥川裕平
    かゆかわクリニック院長 粥川裕平
  • 2 日前
  • 読了時間: 3分

月刊保団連 2024年4月 No.1419



日本自治体労働組合総連合 編

黒田兼一 監修


発行 大月書店

TEL 03-3813-4651/A5判 /280ベージ

2023年 8月 20日 第1刷/定価1500円+税




住民の命と暮らしを守る最前線からの証言

「公共」を取り戻すための貴重な示唆として



人類80億人余りのうち7億人近くが感染し、700万人近くが死亡した新型コロナウイルスのパンデミックは、今なお終息していない。


また、mRNAワクチンの長期的影響については未解明である。


日本は憲法第9条で平和主義をうたいつつ世界有数の軍事力を保持。増強してきた一方で国民の命に関わる医療・保健行政を統廃合し、定員削減を強行してきた異様な国家である。


医療・保健・福祉などの従事者は自らが感染の恐怖を抱きながら、パンデミックに立ち向かってきた。住民の命と暮らしを守る最前線である保健所や保健センターが国策により縮小・再編の一途を余儀なくされている中で、自治体のすべての部署が新型コロナと立ち向かうこととなった。


本書には、ECMOを必要とする最重症病棟での医療現場からの証言はないが、保健所、救 急、医療機関をはじめ、福祉、学童や保育所、ごみ収集などの現業、本庁関係など、北海道から九州まで41人の自治体職員の証言をまとめている。


その構成は、もくじ、プロローグ、巻頭言と続いて、第1部「自治体労働者の証言」には、保健・公衆衛生、医療、消防、保育・学童保育、介護・福祉施設、本庁関係、非正規雇用の現場で奮闘している当事者からの証言を収録。これらを受けて、第2部では「Ⅰ住民と職員のいのちを守る自治労連のとりくみ」「Ⅱコロナで明らかになった自治体の役割と課題」として、自治労連中央執行委員や研究者が執筆し、最後はエピローグでまとめるという構成である。


本書の内容は「新自由主義による『公共』の破壊から、『公共』を取りもどすための貴重な示唆が散りばめられています」という監修者・黒田兼一氏の言葉に集約される。


ところで、非正規雇用が民間企業で拡大する中、「会計年度任用職員」という名の非正規の雇用形態が公務員の世界でも広がっている。


なんといっても、公務員はcivil servant、文字通り公僕なので、災害時には特別に国民に奉仕する義務がある。本書では労働基準法第33条の問題性を指摘しているが、緊急災害時の公務員の責務と健康管理の両立が課題であろう。学者が縷々述べている中身は 俯瞰的だが臨場感がないことが多い。むしろ、最前線の人々こそパンデミックに対する防疫の問題点や矛盾を指摘すべきだろう。


それにしても、自治労連というまともな労働組合の存在価値を示す一冊だった。


(愛知県保険医協会 粥川裕平)




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