私のすすめる一冊『自閉症の世界 多様性に満ちた内面の真実』
- かゆかわクリニック院長 粥川裕平

- 3 時間前
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愛知保険医新聞 2019/01
スティーブ・シルバーマン 著
正高信男・入口真夕子 訳
出版 講談社ブルーバックス
2015年/定価1600円+税
職場でちょっと個性の強い人を見ると上司が「アスペじゃないか」と口にする。当事者もその家族も精神科医も「発達障害」診断に躊躇しない昨今の発達障害流行にはいろいろ考えさせられる。
発達障害に関する数ある書物の中で本書の掘り下げは深く鋭い。巧みな文章力には思わず引き込まれてしまう。アスペルガーやレオ・カナーのルーツを紐解き、その対照的人柄についても言及している。そして、自閉症スペクトラムを提唱したローナ・ウィングの業績を子細に記述している。
自閉症の存在様式は多彩である。1980年代以降に自閉症が注目されたのは、サヴァンを描いた映画「レインマン」の恩恵もある。世の健常人と感じ方や考え方が異なる自閉症者を人類に備わった「脳多様性」という新たな視点から捉え直したのが本書の精髄かもしれない。才能溢れる芸術家や発明家の多くはASDだとの見解もある。
遥か昔、神経学の大家から「統合失調症は変異では?」と指摘されたことがあるので、脳多様性という着想に意外性はなかった。
考えてみると発達障害や精神疾患の有無に関わらず、すべての人間が豊かな個性を持っている。
では、統合失調症や自閉症にお薬が有効だというのは一体何故だろうか。興味は尽きない。
ASDに関心のある方にはお薦めの一冊だ。




