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院長コラム
—掲載媒体から探す—
院長はこれまで、新聞連載や寄稿記事、専門誌、企業の社内報など、さまざまな媒体で執筆を続けてきました。
映画や文学を題材としたエッセイをはじめ、こころの健康や精神疾患、人間関係、社会問題などについて、それぞれの媒体の読者に向けて発信してきました。時代や読者層が異なっても、人間のこころへの関心は一貫しています。
このページでは、これまでに掲載されたコラムを媒体ごとにまとめています。それぞれの媒体でどのようなテーマが語られてきたのかをたどりながら、お読みいただければ幸いです。


こころの病、まず相談の決断
人生における出来事は、身体だけでなく心にも大きな影響を及ぼす。とりわけ普通の人々は、家族の喪失と葛藤を通して、心の病と向き合う過程を丁寧に描いた作品である。長男の死をきっかけに崩れていく家族関係の中で、次男は抑うつや自殺未遂といった危機に直面しながらも、支えを得て再生への道を歩んでいく。
こうした心の不調は、誰にでも起こり得るものであるにもかかわらず、実際に専門家へ相談するまでには長い時間を要することが多い。祈祷や民間療法に頼り続けた末にようやく医療機関へたどり着く例もあり、心の問題に対する社会的理解は必ずしも十分とはいえない。
精神的な不調は特別な人だけの問題ではなく、生活や人間関係の中で誰もが直面し得る現実である。そのため、早い段階で相談につながることの重要性が改めて問われている。
2024年11月27日


強迫性障害◆完全主義の怖さを知ろう
人は「きちんとしていたい」「失敗したくない」という思いを持つが、その思いが過剰になると生活に支障をきたすことがある。恋愛小説家は、強いこだわりと不安を抱えた中年作家が、他者との出会いを通じて変化していく姿を描いた作品である。彼は不潔恐怖や確認行為といった症状に苦しみながらも、ウエートレスとの関係をきっかけに少しずつ世界との関わり方を変えていく。
このような状態は強迫性障害の一形態であり、過度な完全主義や不安の高まりによって、日常生活の自由さが制限されることがある。現代では治療法も進歩し、薬物療法と心理的アプローチの組み合わせによって改善が期待できるようになっている。
重要なのは「正しさ」や「完璧さ」にとらわれすぎず、状況に応じて柔軟に対応する力を育てることである。心のバランスを保つことが、よりよく生きるための基盤となる。
2024年11月7日


「ちょっと一杯」もほどほどに
日常のストレスを和らげる手軽な方法として、「一杯飲む」習慣は広く受け入れられている。しかしその手軽さの裏には、依存へとつながる危険性が潜んでいる。特に家庭内での孤独やストレスが重なる場合、飲酒は気づかぬうちに生活の中心へと入り込みやすい。
アルコール依存症は、世界的にも重要な精神医学的問題であり、日本でも数多くの患者が存在するとされる。習慣的な飲酒は睡眠障害や身体疾患だけでなく、家族関係の破綻にも直結することがある。
映画男が女を愛する時では、アルコール依存に陥った妻と、それを支えようとする家族の葛藤が描かれる。愛情と絶望が交錯する中で、当事者だけでなく周囲の理解と支援の重要性が浮かび上がる。
2024年10月17日


がんばらない◆やわらかな時間も必要
現代社会では「努力すること」「成果を上げること」が強く求められる一方で、その圧力が心の不調を引き起こすことも少なくない。とりわけ過剰な緊張状態が続くと、心はバランスを崩し、抑うつや過活動といった極端な状態を行き来することがある。
映画やわらかい生活は、キャリア志向の女性が喪失体験をきっかけに、生活と心のリズムを大きく変えていく姿を描く作品である。主人公は双極性障害と診断され、これまでの「走り続ける生き方」から一転し、治療と休息を通じて新しい生活の形を模索していく。
その過程で出会う人々との関係は必ずしも整ったものではないが、むしろ不完全でゆるやかなつながりの中に、人間らしい回復の可能性が見えてくる。効率や成果では測れない「時間の質」が、心の再生にとって重要な意味を持つことを示唆している。
2024年10月10日


不眠症◆軽視せず早めに相談を
不眠症は、多くの現代人が抱える身近な問題でありながら、つい軽視されがちな症状である。眠れない状態が続くと、日中の集中力低下や判断力の鈍化を招き、仕事や人間関係にも影響を及ぼす。さらに慢性化すれば、うつ病などの精神疾患へと発展するリスクも高まる。
映画眠れぬ夜のためには、不眠に苦しむ平凡な会社員が、思わぬ事件に巻き込まれていくサスペンスである。睡眠不足による心身の不安定さが、日常を非日常へと変えてしまう様子が象徴的に描かれている。
不眠の背景には、家庭や職場でのストレス、生活習慣の乱れなどが複雑に絡んでいることが多い。適切な生活リズムの確立や環境調整に加え、必要に応じて専門家へ相談することが、回復への第一歩となる。
2024年9月18日


中高年の女性に多い不眠症
「眠れない」という悩みは、現代社会において決して珍しいものではない。日本人の約4人に1人が不眠を経験しているとされ、とりわけ中高年の女性に多いことが知られている。不眠は単なる体質の問題と思われがちだが、その背景には日常生活の不満やストレス、対人関係の悩みなど、心理的要因が深く関わっている場合が多い。
現代は本来の生活リズムを崩しやすく、仕事や娯楽によって睡眠時間が軽視されがちである。その結果、ストレスと不眠が相互に影響し合い、「眠れないこと自体が新たな不安を生む」という悪循環に陥るケースも少なくない。
不眠の原因は身体疾患から精神疾患まで多岐にわたり、放置すれば生活の質の低下だけでなく、深刻な心の問題につながる可能性もある。適切な生活習慣の見直しとともに、早めの対処が重要とされている。
2024年9月11日


眠り病◆難病なのに理解されず
突然、場所や状況を問わず眠りに落ちてしまう――そんな症状を持つナルコレプシーは、日常生活に大きな支障をきたす難病であるにもかかわらず、「怠けている」といった誤解を受けやすい病気である。日本では比較的発症率が高いとされながら、社会的認知は十分とは言えない。
映画マイ・プライベート・アイダホでは、この病を抱える若者の孤独や葛藤が繊細に描かれている。症状だけでなく、生い立ちや人間関係の苦しみも重なり、彼の生きづらさはより深く浮き彫りになる。
近年、脳内物質オレキシンの減少が原因の一つとして明らかになり、医学的理解は進みつつある。しかし治療は依然として対症療法が中心であり、制度的支援も十分ではない。ナルコレプシーは、医学だけでなく社会全体の理解と支援が求められる疾患である。
2024年8月28日


統合失調症、社会復帰に援助を
統合失調症は長期的な治療と支援を必要とする精神疾患であり、症状の安定後も社会復帰には多くの困難が伴う。かつては長期入院が主流だったが、「地域で生きる」という理念のもと、脱施設化が進められてきた。しかし、その理想と現実の間には大きな隔たりがある。
映画聖者の眠る街は、退院後に社会の中で生きる統合失調症の当事者の姿を描き、その孤独や葛藤を浮き彫りにしている。医療から離れた後、生活のすべてを自分で担うことになる現実は厳しく、支援が不十分であれば再び孤立に陥る危険もある。
真の社会復帰とは、単に病院を出ることではなく、安心して暮らせる居場所と周囲の理解を得ることにある。医療・福祉・地域社会が連携し、一人ひとりに応じた継続的な支援を行う体制づくりが求められている。
2024年8月21日
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