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院長コラム
—掲載媒体から探す—
院長はこれまで、新聞連載や寄稿記事、専門誌、企業の社内報など、さまざまな媒体で執筆を続けてきました。
映画や文学を題材としたエッセイをはじめ、こころの健康や精神疾患、人間関係、社会問題などについて、それぞれの媒体の読者に向けて発信してきました。時代や読者層が異なっても、人間のこころへの関心は一貫しています。
このページでは、これまでに掲載されたコラムを媒体ごとにまとめています。それぞれの媒体でどのようなテーマが語られてきたのかをたどりながら、お読みいただければ幸いです。


ひとりぼっちの青春(1970年 アメリカ)
努力すれば報われる――そんな前提が崩れ去るとき、人は何を支えに生きるのか。大恐慌下のアメリカを舞台にしたひとりぼっちの青春は、極限状態の中で生きる若者たちの姿を通して、希望の脆さと現実の残酷さを描き出す。昼夜を問わず踊り続けるマラソン・ダンスという見世物は、単なる娯楽ではなく、貧困と絶望に追い詰められた人々の生存競争そのものである。そこでは努力や忍耐すら搾取の対象となり、人間の尊厳は容易に踏みにじられる。夢や成功を信じることさえ過酷な時代において、人間はどこまで自分を保てるのか――その問いが突きつけられる。
2025年4月10日


「逆境」対策に周囲の支えも
いじめや虐待、孤立といった逆境体験は、個人の心に深い傷を残すことがある。その影響は一時的なストレスにとどまらず、不登校や引きこもり、自傷行為など、長期的な生活機能の低下へとつながることも少なくない。しかし、同じような逆境を経験しても、回復に向かう人とそうでない人が存在する。その差を生む要因の一つが「周囲からの支え」である。スティーヴン・スピルバーグ監督の映画『カラーパープル』は、暴力と抑圧の中に置かれた女性が、わずかな人間関係のつながりを支えに再生していく過程を描いている。逆境そのものを消すことはできなくとも、それを乗り越える力は関係性の中で育まれることが示唆される。
2025年4月4日


スティング(1973年 米国)
1930年代のアメリカ、大恐慌と犯罪が渦巻く時代において、暴力ではなく知恵で相手を出し抜くことを“粋”とする詐欺師たちが存在した。映画『スティング』は、そんな知能犯たちの世界を軽妙かつ痛快に描いた作品である。仲間を殺された若き詐欺師が、伝説的なベテランと手を組み、巨大な犯罪組織のボスに挑む。綿密に練られた計画と巧妙な仕掛けによって、大金を巻き上げる復讐劇は観る者に爽快感を与える。しかし同時に、本作は「騙すこと」の倫理的な曖昧さも浮かび上がらせる。弱者を食い物にする詐欺は許されないが、悪人を出し抜く騙しはなぜか快く感じられる――その感情の揺らぎこそが、この作品の核心である。
2025年3月13日


企業内セクハラ、日米で違い
何気ない一言や態度が、相手に深い不快感や苦痛を与えることがあります。セクシュアル・ハラスメントは、単なる個人の問題ではなく、職場における力関係や組織の風土と深く結びついています。
本稿では、映画『ディスクロージャー』を手がかりに、日米におけるセクハラの捉え方の違いと、その背景にある社会構造や意識の差を見つめ直します。
2025年2月14日


だんらんにっぽん -愛知・南医療生協の奇跡-(日本・2011)
医療は専門家だけが担うものではなく、地域に暮らす人々の関わりの中で支えられていく側面を持つ。伊勢湾台風を契機に誕生した南医療生協は、まさにその象徴的な存在である。大規模災害後の混乱の中で、住民と医療者が手を取り合い、診療所から病院へと発展してきた歩みは、単なる医療機関の成長ではなく、地域そのものの再生の歴史でもあった。映画だんらんにっぽん -愛知・南医療生協の奇跡-は、その過程を支えた無名の組合員たちに光を当てる。そこに描かれるのは、効率や市場原理では測れない、人と人とのつながりから生まれる医療のかたちである。受け身の「患者」から主体的な「担い手」へ――住民参加型医療の可能性を問いかける作品である。
2024年11月26日


第三十七回 サンキュー・スモーキング(2005年 米国)
禁煙が常識となりつつある現代において、煙草をめぐる議論は健康問題だけでなく、情報と価値観の問題へと広がっている。映画 サンキュー・スモーキング は、煙草業界のロビイストを主人公に据え、「正しさ」と「説得」のズレを鋭く描き出す作品だ。
主人公ニックは、煙草の有害性を否定するのではなく、論点を巧みにずらし、聴衆を納得させていく。その姿は、現代社会における情報操作の本質を象徴している。問題は真実そのものではなく、「どう語られるか」によって受け手の認識が左右される点にある。
また本作は、喫煙をめぐる是非を超え、「個人の自由」と「社会的責任」という普遍的なテーマを提示する。自己決定が尊重される一方で、その選択が他者や社会に与える影響も無視できない。情報があふれる時代だからこそ、何を信じ、どう判断するかが問われている。
2024年6月19日


第三十四回 ローマ法王の休日
リーダーとは強く、迷いのない存在であるべきだ――そんな期待は現実的なのでしょうか。
映画『ローマ法王の休日』は、選ばれた指導者がその重圧に耐えきれず葛藤する姿を描きます。本稿では、イソップ寓話の視点も交えながら、権力と責任、そして人間の弱さについて考察します。
2024年4月2日


第三十三回 日本一のホラ吹き男(1964年 日本)
「できる」と言い切ることは、ただの強がりなのか、それとも未来を切り開く力なのか。
映画『日本一の大ぼら吹き』は、大言壮語を現実に変えていく人物をユーモラスに描きます。本稿ではイソップ寓話とあわせて、「大ぼら」と自己実現の関係を読み解き、現代にも通じる人間心理を探ります。
2024年2月7日
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