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愛憎◆感情はいつの時代も同じ

  • 執筆者の写真: かゆかわクリニック院長 粥川裕平
    かゆかわクリニック院長 粥川裕平
  • 2 日前
  • 読了時間: 2分

中日新聞朝刊 2006.09.15



力持ちで、純情一途な男と、美貌(びぼう)を武器に権謀術数をこらす女-。古くから、映画でおなじみのパターンです。現実に「男は単純で、女はずる賢い」かどうかはともかく、物語の構図として分かりやすいのでしょう。


古いアメリカ映画「サムソンとデリラ」(1949年)は、旧約聖書のお話をもとに、無類の怪力男サムソンと、悪女デリラの愛憎を描いた作品です。


ヘブライ人は、パレスチナの先住民・ペリシテ人に支配され、苦難の日々を送っていました。しかし、サムソンには、ペリシテの軍隊も手が出せません。ライオンを素手で倒すほどの力持ちなのです。


そんなサムソンがペリシテ人の娘セマダールに恋をして求婚します。でも、セマダールの姉デリラが横恋慕して、結婚式を妨害し、混乱の中でセマダールは死んでしまいます。


失意のサムソンにデリラは言い寄りますが、振り向いてもらえません。腹を立てたデリラは、今度は復讐(ふくしゅう)のために彼を誘惑します。デリラの肉体的魅力におぼれたサムソンは、髪の毛を切れば自分の怪力がなくなるという秘密を打ち明けてしまい、ペリシテ軍の捕虜になります。


失明させられ、鎖で縛られたサムソンの姿を見て、デリラは激しく後悔し、サムソンを助けようとしますが、彼はそれを拒否します。そして、よみがえった力を使って、ペリシテの神殿を破壊して、敵を道連れに死んでいきます。


おとぎ話の世界ですが、そこに描かれている感情や行動には、今も昔も大きな違いはありません。

電話から携帯メールへと交信技術だけは進化していますが、対人感情は進歩しているとは言い切れません。

美しいものや強いものへのあこがれと独占欲、横恋慕、嫉妬(しっと)、憎悪、誘惑、復讐…。今日の犯罪の多くも、こんなところから生まれています。


最後になってデリラは本当の愛に気づき、サムソンは民族の英雄となりました。このお話はサンサーンスの歌劇やルーベンスの名画にもなっています。




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