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生きがい◆「自分らしく」が一番

  • 執筆者の写真: かゆかわクリニック院長 粥川裕平
    かゆかわクリニック院長 粥川裕平
  • 5 時間前
  • 読了時間: 2分

中日新聞朝刊 2006.11.17



「ミルドレッド」(1996年、アメリカ)



「子どもが私の生きがい」と言う女性がよくいらっしゃいます。自分の育てた子が立派に育つ姿を見るのは、親として無上の幸せでしょう。ただ、「子どもが唯一の生きがい」とか「子どもが立派にならなければ、不幸せ」といった気持ちが陰に隠れているとしたら、ちょっと先行きが懸念されます。生きがいが家族愛だけだと、死別によるうつ病や、空の巣症候群に襲われるリスクがあるからです。


名優ジーナ・ローランズが演じた「ミルドレッド」は、中年期の危機を乗り越える女性の内面を描いた作品です。


しっかり者のミルドレッドは、夫と死別した後、長男イーサンを立派に育て上げ、長女のアンと二人暮らし。でも、子ども扱いされることにいら立ったアンはある日、家を出ていきます。そのころ、向かい側の家に住む女性モニカも、暴力的な夫を追い出してしまいました。でも、六歳の息子JJをかかえて働くのは大変で、昼間だけミルドレッドが世話を買って出ます。


無口で人見知りするJJを、ミルドレッドはわが子のようにかわいがり、本を読み聞かせたり、スポーツの相手をしたり、誕生日のプレゼントをしたりと愛情を注ぎます。モニカに誘われて出かけた酒場で知り合ったトラック運転手の男性にも恋心を覚えたりします。


長男のイーサンからサンフランシスコの新居に招かれ「今の家を処分して、一緒に住もう」と同居を提案されますが「今の生活が気に入っているの。JJは私の親友よ」と拒否。その矢先に、モニカが夫と復縁、再び独りぼっちに舞い戻るミルドレッドでした。


JJとの出会いと別れを通じて、だれかを頼ったり、世話したりすることではなく、自分らしく生きることこそ大切、という思いがミルドレッドの心に芽生えます。思い出のしみこんだ、住み慣れた家を売り払い、娘のアンにも行き先を告げず旅立ちます。アンのはなむけの言葉は「ママ、とってもきれいよ」でした。





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