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私のすすめる一冊『道程 オリヴァー・サックス自伝』

  • 執筆者の写真: かゆかわクリニック院長 粥川裕平
    かゆかわクリニック院長 粥川裕平
  • 7月25日
  • 読了時間: 2分

愛知保険医新聞 2016/04/05



オリヴァー・サックス 著

 大田直子 訳

出版 早川書房

2015年/定価2916円



「僕の前に道はない、僕の後ろに道は出来る」と高らかに謳った高村光太郎の「道程」は有名だ。嗜眠性脳炎に罹患した患者のLードーパ療法を描いた映画「レナードの朝」で有名な神経内科医兼作家のオリ ヴァー・サックスの自伝だ。


英国生まれ、医師の家庭に生まれ同胞が皆医師になる中で医師になることを運命づけられたのに、科学者を志した夢も語られる。米 国に渡り自然科学者を目指すが挫折して臨床医の道を選択する。


サックスは、同性愛者であることを生々しい性描写を交えてカミングアウトする。とても勇気のいることだと思われるが、死期が近づくと係累が居ないだけに気楽なのだろう。おまけにマッチョで、ウェイト・リフティング、バイク・ライダーなど男臭さをプンプンさせる青年期を告白する。重量挙げは力の、バイクは二十世紀の牛追いの象徴だ。歌舞伎、宝塚、相撲界、軍隊、刑務所でも山のようにあり得るが、一般社会での同性愛だから環境因性の「同性愛」ではない。


世界的作家として有名な医者はオリヴァー・サック ス、マイケル・クライトン、クローニンくらいだろうか。「ゲイを告白したサックスの本は面白い」と知人に話したら「童貞ですか」と。日本語の発音同語のジョークだが、やはり性的少数派への理解は難しい。


本作は露出過剰自己愛人間の自伝と評することが出来る。

見事な翻訳をした大田直子氏、英語字幕の第一人者戸田奈津子の後継者と期待されていたのに五十七 一歳で生涯を終えたのは誠に残念。




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