私のすすめる一冊『一流の狂気 : 心の病がリーダーを強くする』
- かゆかわクリニック院長 粥川裕平

- 5 時間前
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愛知保険医新聞 2016/09/15
ナシアガミー 著
山岸 洋・村井 俊哉 訳
出版 日本評論社
2016年/定価2600円+税
ジャンヌダルクやイエ ス・キリストは神の声を 聴いたという。絶頂期にも土地投機をせずバブル 崩壊の危機を免れたのはペシミストの経営者であった。秀才でも凡庸、 即ち普通の人(ホモクリット)は平時には強いが、危機には無能との仮説を、世界史に残る事件を巡る病跡学的検討を通じてイラン人精神科医が提唱した。
著者は、政治、軍事、ビジネスなどの分野のリーダーに着目し、「危機の局面においては、うつや双極性障害、統合失調症などの精神障害を持つ人の方が、リーダーとして優れている」という大胆な説を打ち立て、南北戦争の北軍将軍シャーマンやCNN創業者ターナーなどを例に挙げる。と同時に精神医学的に正常とされる普通のリーダーについても掘り下げる。 周りからまともと見られていたチェンバレンがナチスへの宥和策で挫折し、双極性障害で不安定とされていたチャーチルが英国の危機を救った。病跡学という精神医学の一分野が創造性と狂気の関連を解剖していた。
巷でも「天才は狂気と紙一重」といわれたものだ。故人の精神病理学的解剖ではなく、現存する政治家についても言及した大胆さは小気味よい。





