統合失調症◆家族は見守る姿勢持って


中日新聞朝刊 2006.10.27
「こわれゆく女」(1974年・アメリカ)
夫や子どもたちを愛しているのに、平穏な生活を送ることができない。そんな主婦の心の病と夫の苦悩を描いた作品がジョン・カサベテス監督の「こわれゆく女」です。
メイベルは、工事現場監督の夫ニックと、三人の子どもと暮らしていますが、とっぴな行動を取るので、ニックはハラハラし通しです。
たまには夫婦水入らずで過ごそうと、子どもたちを実家に預けた夜、ニックは急な事故処理で、徹夜の勤務に。寂しさに耐えられないメイベルは、夜の街に出かけます。もうろうとした状態で、男を家に連れ込み、正気に返って男を追い出します。
翌朝、ニックが部下たちを連れて帰宅すると、メイベルは部下たちにキスをしたり、ダンスをせがんだりと大はしゃぎ。自分の行動がひんしゅくを買っていると分かると、表情をこわばらせ、独り言を繰り返します。
感情の起伏が激しく、幻覚や被害関係妄想を抱きやすいメイベルの症状は、統合失調症と診断できます。
振り回される家族も大変です。ニックはいらだちから怒鳴ったり、近隣とけんかをしたりして疲れ果て、メイベルは専門病院に半年間入院することになりました。
退院の日、ニックはお祝いに仕事仲間たちを集め、パーティを開こうとしますが、病み上がりのメイベルには負担が大きく、その夜は激しい夫婦げんかに。でも、子どもたちを寝かせて夫婦二人になって、ようやく穏やかな時間が訪れます。
混乱するメイベルの精神状態を、ジーナ・ローランズが見事に演じました。武骨で不器用なニック役は「刑事コロンボ」でおなじみのピーター・フォークでした。
現在では、統合失調症の新薬も登場し、普通に家庭生活を営む患者さんも増えています。
家族は本人のつらさを受け止め、じっくり見守る姿勢を持つことが大切です。




