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院長コラム
—掲載媒体から探す—
院長はこれまで、新聞連載や寄稿記事、専門誌、企業の社内報など、さまざまな媒体で執筆を続けてきました。
映画や文学を題材としたエッセイをはじめ、こころの健康や精神疾患、人間関係、社会問題などについて、それぞれの媒体の読者に向けて発信してきました。時代や読者層が異なっても、人間のこころへの関心は一貫しています。
このページでは、これまでに掲載されたコラムを媒体ごとにまとめています。それぞれの媒体でどのようなテーマが語られてきたのかをたどりながら、お読みいただければ幸いです。


私のすすめる一冊『21 Lessons:21世紀の人類のための21の思考』
ユヴァル・ノア・ハラリの『21 Lessons』は、『サピエンス全史』『ホモ・デウス』に続き、21世紀を生きる人類が直面する課題を幅広く論じた一冊です。AIや自動化による雇用の変化、自由と平等、ナショナリズム、宗教、移民、戦争、ポスト・トゥルース、科学、教育、そして人生の意味まで、現代社会を形づくるさまざまな問題を取り上げています。人類は科学技術を発展させ、国境を越えた経済や情報社会を築いてきました。一方で、世界規模の問題を抱えながら、政治や社会の仕組みは依然として国家単位にとどまっています。本書は、変化の激しい21世紀を人間はいかに生きるのかを考えるための、現代社会への思考の手引きとなる一冊です。
6 日前


私のすすめる一冊『証言 治安維持法:「検挙者10万人の記録」が明かす真実』
1925年に制定された治安維持法は、当初、国体の変革や私有財産制度の否認を目的とする結社などを取り締まる法律として制定されました。しかし、本書によれば、その後の20年間の運用では一般の市民にも対象が広がり、当事者や遺族の証言、公文書に記された検挙者数のデータから、その実態が検証されています。NHK「ETV特集」取材班による『証言 治安維持法――「検挙者10万人の記録」が明かす真実』は、個々の証言を入り口に、法律がどのように運用され、社会にどのような影響を及ぼしたのかをたどる一冊です。著者は治安維持法だけでなく、戦前・戦中の治安体制と戦後の治安体制の連続性にも目を向けています。
10月3日


私のすすめる一冊『子育てで一番大切なこと 愛着形成と発達障害』
発達障害への関心が高まる一方で、子どもの発達を考えるときには、生まれ持った特性だけでなく、親子関係や愛着形成、子どもを取り巻く社会環境にも目を向ける必要があります。杉山登志郎著『子育てで一番大切なこと――愛着形成と発達障害』は、現代の子育てを児童精神医学の視点から考え、発達障害と愛着障害の関係、乳幼児期から学童期までの子育て、子どもの貧困、社会全体で子どもを育てることなどを論じた一冊です。本書の「愛着障害を第四の発達障害と位置づける」という考え方については議論の余地があるとしながらも、発達障害を理解するうえで、子どもの環境や人との関係を考える重要性を示しています。
9月26日


私のすすめる一冊『ホモ・デウス テクノロジーとサビエンスの未来』
ユヴァル・ノア・ハラリの『ホモ・デウス』は、『サピエンス全史』に続いて、人類がこれからどこへ向かうのかを壮大な視点から描いた一冊である。二十世紀の人類は、飢饉や戦争の克服、幸福の追求を目指してきた。しかし、科学技術の発展によって地球を支配するまでになった人類は、今やAIやアルゴリズムという新たな技術と向き合おうとしている。チェスや囲碁で人工知能が人間を上回ったことに象徴されるように、これまで人間だけが担ってきた知的労働や技能も、アルゴリズムに置き換えられる可能性がある。本書は、人間至上主義からデータ至上主義への転換や、知能と意識の分離といった未来を大胆に予測する。一方で、その未来像が本当に普遍的なものなのか、不死や至福を人類共通の目標にできるのかという疑問も残る。科学技術は人類を幸福にするのか、それとも人間そのものを変えてしまうのか。人類史を俯瞰しながら未来を考えさせる一冊である。
9月19日


私のすすめる一冊『近代日本一五〇年 ―科学技術総力戦体制の破綻』
山本義隆著『近代日本一五〇年 ―科学技術総力戦体制の破綻』は、明治維新から現代までの日本の近代化を、科学技術と国家の関係という視点から捉え直した一冊である。明治政府が西洋の科学技術を導入した背景には富国強兵・軍事目的があり、その後も産官学が一体となって科学技術を推進してきた。その一方で、女工哀史、足尾銅山鉱毒問題、公害、原子力政策など、国力や産業発展の陰で国民の生命や健康が犠牲にされてきた歴史も描かれる。科学技術は人間を豊かにするものなのか、それとも国家の力を増大させるための道具になり得るのか。本書を評価しながら、著者の悲観主義と読後に残る虚無感にも目を向ける。
9月12日


私のすすめる一冊『人工知能と経済の未来 2030年雇用大崩壊』
AIが人間の仕事を奪い、2030年には「雇用大崩壊」が起こる――。『人工知能と経済の未来』は、人工知能の発展が社会や経済、そして人間の働き方をどう変えていくのかを論じた一冊です。機械学習やディープラーニング、「全脳アーキテクチャ」などの技術を紹介しながら、2030年までを「特化型AIの時代」、それ以降を「汎用AIの時代」と位置づけます。著者は、将来的には創造的仕事、管理的業務、歓待業務以外の人間労働が不要になる可能性を示します。一方で、AIには合意形成に役立つ一面があっても、人間のような創造性はないという見方もあります。AIによって仕事がなくなることは、人間の価値が失われることなのか。技術革新を単純に歓迎するのではなく、「人間はAIとともに、どのような社会をつくるのか」という問いを突きつける評論です。
9月6日


私のすすめる一冊『ロシア革命 破局の8か月』
国家は革命する権利を奪えるのか――。2017年、ロシア革命から100年の節目に刊行された池田嘉郎『ロシア革命 破局の8か月』を取り上げ、1917年2月革命から10月革命までの激動の8か月を振り返ります。著者は、ケレンスキーやジノヴィエフらの人物像を交えながら、革命がどのように進展し、社会を大きく変えていったのかを活劇のように描きます。筆者自身も、少年時代にソビエト科学やパブロフに親しみ、学生時代にはメンシェヴィキとボルシェヴィキ、スターリニズムとトロツキズムという対立を知りました。しかし、ベルリンの壁崩壊と東欧社会主義諸国の崩壊を経て、かつて身近だったソ連社会への関心も遠いものとなっていきます。革命から100年を経た今、著者が最後に示す「異なる利害を調整できる制度を粘り強く作る」という言葉は、現代社会にも重く響きます。
8月29日


私のすすめる一冊『サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福』
人類はなぜ、地球上の生物の頂点に立つことができたのでしょうか。ユヴァル・ノア・ハラリの『サピエンス全史』は、人類二百万年の歴史をたどりながら、言語、神話、宗教、国家、資本主義、科学技術などを壮大な視野で論じた一冊です。著者は、貨幣や国家、法律、企業など、人類の社会を支える仕組みの多くが「共同幻想」に基づいていると指摘します。狩猟採集から農耕へ移行した「農業革命」は、人類を豊かにした一方で、より忙しい生活をもたらしたという逆説も興味深いところです。そして遺伝子工学などの科学技術によって、人類は自らの身体や種そのものを変える力を手にしようとしています。人類の繁栄とは何だったのか。そして、私たちは本当に幸福になったのか。壮大な人類史から、現代を生きる意味を考えさせられる一冊です。
8月22日
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