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院長コラム
—掲載媒体から探す—
院長はこれまで、新聞連載や寄稿記事、専門誌、企業の社内報など、さまざまな媒体で執筆を続けてきました。
映画や文学を題材としたエッセイをはじめ、こころの健康や精神疾患、人間関係、社会問題などについて、それぞれの媒体の読者に向けて発信してきました。時代や読者層が異なっても、人間のこころへの関心は一貫しています。
このページでは、これまでに掲載されたコラムを媒体ごとにまとめています。それぞれの媒体でどのようなテーマが語られてきたのかをたどりながら、お読みいただければ幸いです。


私のすすめる一冊『ロシア革命 破局の8か月』
国家は革命する権利を奪えるのか――。2017年、ロシア革命から100年の節目に刊行された池田嘉郎『ロシア革命 破局の8か月』を取り上げ、1917年2月革命から10月革命までの激動の8か月を振り返ります。著者は、ケレンスキーやジノヴィエフらの人物像を交えながら、革命がどのように進展し、社会を大きく変えていったのかを活劇のように描きます。筆者自身も、少年時代にソビエト科学やパブロフに親しみ、学生時代にはメンシェヴィキとボルシェヴィキ、スターリニズムとトロツキズムという対立を知りました。しかし、ベルリンの壁崩壊と東欧社会主義諸国の崩壊を経て、かつて身近だったソ連社会への関心も遠いものとなっていきます。革命から100年を経た今、著者が最後に示す「異なる利害を調整できる制度を粘り強く作る」という言葉は、現代社会にも重く響きます。
2 日前


私のすすめる一冊『サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福』
人類はなぜ、地球上の生物の頂点に立つことができたのでしょうか。ユヴァル・ノア・ハラリの『サピエンス全史』は、人類二百万年の歴史をたどりながら、言語、神話、宗教、国家、資本主義、科学技術などを壮大な視野で論じた一冊です。著者は、貨幣や国家、法律、企業など、人類の社会を支える仕組みの多くが「共同幻想」に基づいていると指摘します。狩猟採集から農耕へ移行した「農業革命」は、人類を豊かにした一方で、より忙しい生活をもたらしたという逆説も興味深いところです。そして遺伝子工学などの科学技術によって、人類は自らの身体や種そのものを変える力を手にしようとしています。人類の繁栄とは何だったのか。そして、私たちは本当に幸福になったのか。壮大な人類史から、現代を生きる意味を考えさせられる一冊です。
8月22日


私のすすめる一冊『スリープ・レボリューション 最高の結果を残すための 「睡眠革命」』
『スリープ・レボリューション 最高の結果を残すための「睡眠革命」』は、米国のジャーナリスト、アリアナ・ハフィントンが、現代社会における睡眠不足の危機と、睡眠の重要性を説いた一冊です。日本人の睡眠時間が半世紀の間に大きく減少する一方、スマートフォンやインターネットへの依存、長時間労働による過労死・過労自殺など、睡眠不足は個人の健康だけでなく社会全体の問題となっています。本書では、産業革命以降、効率や生産性を重視する社会の中で睡眠が軽視されてきた歴史を振り返り、睡眠科学の知見から、眠っている間にも脳や身体が活発に働いていることを紹介します。さらに、睡眠不足と糖尿病、心血管疾患、肥満、認知症などとの関連にも触れ、よりよい睡眠を実現するための方法や新しい技術を紹介しています。「眠らずに頑張る」ことが美徳とされがちな現代社会に対し、睡眠こそ健康と生存の基盤であると問い直す、現代人必読の一冊です。
8月15日


私のすすめる一冊『一流の狂気 : 心の病がリーダーを強くする』
『一流の狂気―心の病がリーダーを強くする』は、イラン出身の精神科医ナシア・ガミーが、精神医学と歴史を融合させながら「危機の時代には、精神疾患を経験したリーダーの方が優れた判断を下すことがある」という大胆な仮説を展開した一冊である。政治・軍事・経済の歴史を彩った指導者たちを病跡学の視点から分析し、チャーチル、シャーマン将軍、テッド・ターナーらの事例を通して、うつ病や双極性障害、統合失調症と創造性・共感力・危機対応能力との関係を考察する。一方で、平時には安定した性格が長所となる「普通のリーダー」の限界にも目を向ける。精神疾患を美化するのではなく、人間の多様性とリーダーシップの本質を問い直す刺激的な一冊であり、精神医学だけでなく歴史や経営学に関心を持つ読者にも多くの示唆を与えてくれる。
8月8日


私のすすめる一冊『自閉症の世界 多様性に満ちた内面の真実』
『自閉症の世界 多様性に満ちた内面の真実』は、自閉症スペクトラム(ASD)を単なる障害としてではなく、「脳多様性(ニューロダイバーシティ)」という視点から捉え直した読み応えのある一冊である。アスペルガーやレオ・カナーの足跡、自閉症スペクトラム概念を確立したローナ・ウィングの功績を丹念にたどりながら、自閉症研究の歴史と現代的意義を分かりやすく解説している。発達障害という診断名が広く知られるようになった今日、本書は「個性」と「障害」の境界について深く考えさせてくれる。映画『レインマン』にも触れながら、ASDの多様な認知特性や創造性を紹介し、人間理解をより豊かなものへと導く。医療・教育・福祉に携わる人はもちろん、発達障害について正しく学びたいすべての人に薦めたい良書である。
8月1日


私のすすめる一冊『道程 オリヴァー・サックス自伝』
『道程 オリヴァー・サックス自伝』は、『レナードの朝』で世界的に知られる神経内科医・作家オリヴァー・サックスが、自らの人生を率直に綴った回想録である。英国の医師一家に生まれ、科学者を志しながら臨床医への道を歩んだ経緯、アメリカでの研究生活、そして同性愛者としてのアイデンティティを包み隠さず語る姿は、医師としてだけでなく一人の人間としての誠実さを感じさせる。重量挙げやバイクへの情熱など意外な一面も描かれ、世界的な医学者の素顔が浮かび上がる。医学、文学、人生が交差する本書は、医療者はもちろん、人間とは何かを考えたいすべての読者に新たな視点を与えてくれる一冊である。
7月25日


私のすすめる一冊『人類の進化が病を生んだ』
『人類の進化が病を生んだ』は、サイエンスライターのジェレミー・テイラーが、進化医学(Evolutionary Medicine)の視点から人間の病気の成り立ちを読み解いた科学読み物である。自己免疫疾患やアレルギー、不妊症、腰痛、眼疾患、がん、心臓病、アルツハイマー病など、多くの疾患を進化生物学の観点から考察し、「進化は健康ではなく生殖の成功を優先する」という進化論の基本原理をわかりやすく解説する。現代社会と人類の進化速度とのミスマッチが病気を生み出しているという視点は、従来の機械論的な疾病観に新たな問いを投げかける。医学・生物学に関心を持つ読者はもちろん、病気をより深く理解したい一般読者にも示唆に富む一冊である。
7月16日
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