私のすすめる一冊『人類の進化が病を生んだ』
- かゆかわクリニック院長 粥川裕平

- 7月16日
- 読了時間: 2分
更新日:4 日前
愛知保険医新聞 2018/05
ジェレミー・テイラー 著
小谷野昭子 訳
出版 河出書房新社
2018年
サイエンス・ライターは、トピックを浮かび上がらせる文章術の達人だ。本書の構成は、第一章「自己免疫疾患とアレルギー」、第二章「不妊症」、第三章「腰痛」、第四章「眼の病気」、第五章「癌」、第六章「心臓病」、 第七章「アルツハイマー病」となっている。
生物進化の過程、とりわけ系統発生と個体発生の観点をダイナミックに取り入れた斬新な仮説を紹介している。その趣旨は、(一)進化は健康ではなく生殖の成功を最大化するように働くため「若いときあなたを生かすものは、歳をとってからあなたを殺す原因になる」。(二)物学的進化は文化の変化と比べて圧倒的に遅い。そのため、環境の変化に身体が追い付かないというミスマッチが病気を引き起こす。(三)ヒトの病気の大半は遺伝子変異によるが、その変異は他の遺伝子や環境との相互作用で発現するが故に病気は不可避である。
医学の役割は言うまでもなく病を治すことである。
体内から悪玉や患部を除去すれば良いという馬鹿でも分かる機械論的発想に基づく現在の疾病論・治療論を、進化医学の観点から、根底から見直すべきではないかと問いかけている。
本書の原題は「如何にして進化は人類の健康を形成し医学を変革するか」(How evolution shapes our health and transforms medicine?)なので誤解を招きやすいが、刺激的情報に脳は活性化される。





