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性差別 ◆暴力による支配に反旗

  • 執筆者の写真: かゆかわクリニック院長 粥川裕平
    かゆかわクリニック院長 粥川裕平
  • 18 時間前
  • 読了時間: 2分

中日新聞朝刊 2006.09.22



アメリカの黒人たちをめぐる人種差別の歴史については、だれもがご存じだと思います。しかし、同じ黒人同士で女性が男性からの性差別やドメスティックバイオレンス=DV(配偶者からの暴力)=に苦しんできたことは、どれだけの人が知っていたでしょうか。


今回ご紹介する「カラーパープル」(1985年、アメリカ)は、黒人女性の大河ドラマです。


舞台は、20世紀初頭の南部ジョージアの小さな町。セリーは父親からの性虐待によって、二度にわたり妊娠・出産。その赤ちゃんもどこかに引き取られ、セリーは、横暴な男ミスターのもとに嫁がされます。口答えは許されず、暴力で支配される日々。人間としての尊厳はずたずたになり、夫から「醜い」と言われて、笑うときは歯を見せないほどでした。


やがて、妹のネッティも父親から逃げて家に転がり込んできますが、ミスターとの性関係を拒んだために追い出され、姉妹は生き別れになります。


ある日、ミスターの愛人のブルース歌手シャグが病気になって家に転がり込んできて、同居する間にシャグとの不思議な友情が生まれます。


美しい心と自立の精神を持つシャグに、目を開かせられたセリーは、自分も人間であること、未来があることに気づいていきます。そして、長年にわたって夫がネッティから来た手紙を隠していたことを知り、セリーは暴力を恐れず夫に反旗を翻し、家を出ます。


登場人物のほとんどは黒人です。だらしなくて横暴な男性と、たくましい女性を対比的に描きつつ、和解、救い、再会のドラマを盛り込んで、感動を高めています。何より、成人後のセリーを演じたウーピー・ゴールドバーグの演技は圧巻です。


原作は、アリス・ウォーカーのベストセラー小説。スティーブン・スピルバーグが監督し、評判を呼びました。


暴力による配偶者への支配は、今日でも後を絶ちません。

DVに象徴される陰湿な暴力は、人間の尊厳の蹂躙(じゅうりん)であり、被害者は泣き寝入りしてはいけないことを、この映画は静かに、強く教えています。




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