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重圧◆父の支配を脱して自立

執筆者の写真: かゆかわクリニック院長 粥川裕平
かゆかわクリニック院長 粥川裕平
7 時間前
読了時間: 2分

中日新聞朝刊 2007.01.19



シャイン(1995年、オーストラリア)



オーストラリアのデビッド・ヘルフゴットは、統合失調症を克服した天才ピアニストとして知られています。「シャイン」は、彼が父親の重圧をはねのけ、本来の自己を取り戻すまでを描いた作品です。名優ジェフリー・ラッシュが成人後のデビッドを演じ、アカデミー主演男優賞に輝きました。


デビッドは、父ピーターから、ピアノをたたきこまれ、神童と騒がれます。ピーターは、自分が果たせなかった音楽家の夢を息子に託したのです。


デビッドは、栄光への道を歩みだしますが、ピーターは息子が自分の影響下から離れることを恐れるようになります。「お前をどれだけ深く愛しているか分かるか」「お前は幸運な子だ」といった言葉でデビッドを縛り付け、アメリカ留学を断念させ、暴力もふるいました。デビッドは、父の呪縛(じゅばく)と愛着と自立心との間でもがき苦しみ、次第に表情がうつろになっていきます。


十九歳のとき、父の反対を押し切り、ロンドンの王立音楽院に奨学生として留学。学内のコンクールで、最も難しいとされるラフマニノフのピアノ協奏曲第三番に挑戦します。ピーターの思い入れの強い曲で、デビッドは父に反発しつつも「ほめられたい」という思いにとらわれていたのです。見事に優勝したものの、精根尽き果てて病状が悪化し、精神科病院に入院を余儀なくされます。


時は流れ、ファンの女性に引き取られ退院したデビッドは、バーのピアノを気まぐれに演奏して熱狂的な拍手を浴び、演奏の喜びを思い出します。そして、訪ねてきたピーターを拒否して追い返した時、彼は初めて、父の支配を脱した自分に気づくのです。やがて年上の女性ギリアンと結ばれ、コンサート・ピアニストとして復帰します。肉親の「父性」に苦しめられ続けたデビッドが、恋人の「母性」に支えられて自分の道を歩み出す様子は印象的です。


親は子どもの人生を縛ってはいけないと、しみじみ思います。








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