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院長コラム
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院長はこれまで、新聞連載や寄稿記事、専門誌、企業の社内報など、さまざまな媒体で執筆を続けてきました。
映画や文学を題材としたエッセイをはじめ、こころの健康や精神疾患、人間関係、社会問題などについて、それぞれの媒体の読者に向けて発信してきました。時代や読者層が異なっても、人間のこころへの関心は一貫しています。
このページでは、これまでに掲載されたコラムを媒体ごとにまとめています。それぞれの媒体でどのようなテーマが語られてきたのかをたどりながら、お読みいただければ幸いです。


障害の理解◆認知を広めた名演技
映画『レインマン』は、自閉症という障害への理解を広く社会に伝えることに貢献した作品である。中古車ディーラーのチャーリーは、父の死をきっかけに、自分には存在すら知らされていなかった兄レイモンドと出会う。自閉症のため施設で暮らす兄を、当初は遺産目当てで連れ出したチャーリーだったが、長い旅を共にする中で、兄の独特な行動や高い記憶力、その背景にある人間性を少しずつ理解していく。やがて幼い頃に自分を守ってくれた「レインマン」の正体が兄だったことを知り、チャーリーの兄に対する見方も変化していく。ダスティン・ホフマンの名演技は、自閉症の人の姿を社会に印象づける大きな役割を果たした。障害を「異質な存在」として見るのではなく、一人の人間として理解し、ともに生きるとはどういうことなのかを考えさせる作品である。
7 日前


平行と垂直(2026年 日本)
自閉スペクトラム症(ASD)の兄と妹、そして二人を取り巻く人々の日常を描いた映画「平行と垂直」。母を早くに亡くし、母方の祖母に引き取られた兄妹は、それぞれ異なる形で人生を歩み始めます。物を平行や垂直に並べる兄は、清掃の仕事に就き、反復練習によって弁当作りも身につけています。仕事の丁寧さが評価される一方、時間がかかることを年配の同僚から指摘されるなど、社会の中で生きる難しさも描かれます。共同生活の支援者が必要なときに駆けつけ、幼い頃から兄を支えてきた妹にも結婚という人生の転機が訪れます。本作が問いかけるのは、障害の有無だけではありません。人はいつまで地域で暮らし続けられるのか、家族だけでなく周囲の人々がどう支え合うのか。「平均的人間」という概念そのものを問い直しながら、発達障害と共生社会について考えさせる作品です。
8月31日


私のすすめる一冊『スリープ・レボリューション 最高の結果を残すための 「睡眠革命」』
『スリープ・レボリューション 最高の結果を残すための「睡眠革命」』は、米国のジャーナリスト、アリアナ・ハフィントンが、現代社会における睡眠不足の危機と、睡眠の重要性を説いた一冊です。日本人の睡眠時間が半世紀の間に大きく減少する一方、スマートフォンやインターネットへの依存、長時間労働による過労死・過労自殺など、睡眠不足は個人の健康だけでなく社会全体の問題となっています。本書では、産業革命以降、効率や生産性を重視する社会の中で睡眠が軽視されてきた歴史を振り返り、睡眠科学の知見から、眠っている間にも脳や身体が活発に働いていることを紹介します。さらに、睡眠不足と糖尿病、心血管疾患、肥満、認知症などとの関連にも触れ、よりよい睡眠を実現するための方法や新しい技術を紹介しています。「眠らずに頑張る」ことが美徳とされがちな現代社会に対し、睡眠こそ健康と生存の基盤であると問い直す、現代人必読の一冊です。
8月15日


私のすすめる一冊『一流の狂気 : 心の病がリーダーを強くする』
『一流の狂気―心の病がリーダーを強くする』は、イラン出身の精神科医ナシア・ガミーが、精神医学と歴史を融合させながら「危機の時代には、精神疾患を経験したリーダーの方が優れた判断を下すことがある」という大胆な仮説を展開した一冊である。政治・軍事・経済の歴史を彩った指導者たちを病跡学の視点から分析し、チャーチル、シャーマン将軍、テッド・ターナーらの事例を通して、うつ病や双極性障害、統合失調症と創造性・共感力・危機対応能力との関係を考察する。一方で、平時には安定した性格が長所となる「普通のリーダー」の限界にも目を向ける。精神疾患を美化するのではなく、人間の多様性とリーダーシップの本質を問い直す刺激的な一冊であり、精神医学だけでなく歴史や経営学に関心を持つ読者にも多くの示唆を与えてくれる。
8月8日


統合失調症◆家族は見守る姿勢持って
『こわれゆく女』(1974年、アメリカ)は、ジョン・カサベテス監督による名作で、統合失調症を抱える一人の主婦と、その家族が直面する苦悩をリアルに描いたヒューマンドラマです。夫や子どもを深く愛しながらも、自らの感情や行動を制御できず苦しむメイベルと、彼女を支えようとしながら戸惑い、疲弊していく夫ニックの姿は、精神疾患が本人だけでなく家族全体に大きな影響を及ぼすことを教えてくれます。主演のジーナ・ローランズとピーター・フォークの迫真の演技も高く評価され、精神疾患への理解を深める作品として現在も語り継がれています。本作は、治療だけでなく、家族が本人の苦しさを受け止め、焦らず見守ることの大切さを問いかける映画です。
8月4日


私のすすめる一冊『自閉症の世界 多様性に満ちた内面の真実』
『自閉症の世界 多様性に満ちた内面の真実』は、自閉症スペクトラム(ASD)を単なる障害としてではなく、「脳多様性(ニューロダイバーシティ)」という視点から捉え直した読み応えのある一冊である。アスペルガーやレオ・カナーの足跡、自閉症スペクトラム概念を確立したローナ・ウィングの功績を丹念にたどりながら、自閉症研究の歴史と現代的意義を分かりやすく解説している。発達障害という診断名が広く知られるようになった今日、本書は「個性」と「障害」の境界について深く考えさせてくれる。映画『レインマン』にも触れながら、ASDの多様な認知特性や創造性を紹介し、人間理解をより豊かなものへと導く。医療・教育・福祉に携わる人はもちろん、発達障害について正しく学びたいすべての人に薦めたい良書である。
8月1日


なぞ解き◆はかなさを醸し出す
『めまい』(1958年)は、アルフレッド・ヒチコック監督が手掛けた心理サスペンスの最高傑作の一つである。元刑事ジョンは、高所での事故による心的外傷から高所恐怖症に苦しみながら、旧友から依頼された妻マデリンの尾行を引き受ける。しかし不可解な出来事が続き、恋愛、死、そして巧妙な殺人計画が絡み合う中で、事件の真相が明らかになっていく。本作は、サスペンスとしての完成度だけでなく、トラウマや恐怖症、夢、無意識など精神医学的テーマを巧みに取り入れた作品としても高く評価される。認知行動療法を思わせる恐怖症克服の描写も印象的であり、人間心理の複雑さと愛のはかなさを深く描いた不朽の名作である。
7月28日


書評『睡眠のなぜ?に答える本 もっと知ろう!やってみよう!!快眠のための12ポイント』
『睡眠のなぜ?に答える本 もっと知ろう!やってみよう!! 快眠のための12ポイント』は、睡眠健康推進機構の大川匡子機構長、高橋清久前機構長の監修のもと、日本睡眠学会理事長・内山真先生をはじめとする睡眠医学の第一線の専門家が執筆した睡眠健康の実践書である。「質の良い睡眠は今日の疲れを癒し、明日への活力を生みます」という監修者の言葉を軸に、睡眠の基礎知識から快眠のための具体的な12のポイント、睡眠薬の正しい使い方、シフトワークや災害時の睡眠対策まで、科学的根拠に基づいて分かりやすく解説している。豊富な「睡眠物知りコラム」も読みやすく、子どもから高齢者まで幅広い世代の睡眠の悩みに応える内容となっている。睡眠不足や不眠が社会問題となる現代において、「眠り方改革」の重要性を提言する啓発書として、多くの人に薦めたい一冊である。
7月10日
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