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愛は強い◆戦地に咲く一途な思い

執筆者の写真: かゆかわクリニック院長 粥川裕平
かゆかわクリニック院長 粥川裕平
23 時間前
読了時間: 2分

中日新聞朝刊 2006.12.29



「人生は、奇跡の詩」

(2005年、イタリア) 



かつて映画界には、チャプリンやキートンといった偉大な喜劇役者がいました。自ら監督・主演し、自分の体と言葉で、観客を笑いと涙の渦に包み込む天才たちでした。


コンピューターグラフィックス(CG)の技術が進み、映画づくりが大きく様変わりした今、かつての天才たちに劣らない存在感を見せるのが、イタリアのロベルト・ベニーニです。


1999年のアカデミー賞で主演男優賞などを獲得した「ライフ・イズ・ビューティフル」をご記憶の方も多いでしょう。今回紹介するのは、彼の最新作で現在公開中の「人生は、奇跡の詩(うた)」。「ライフ・イズ・ビューティフル」と同様に、彼が監督・主演し、実生活でも妻であるニコレッタ・ブラスキが共演しています。


舞台は2003年のローマ。詩人で大学教授のアッティリオは、おっちょこちょいで、ちょっと浮気性のイタリア男ですが、別居中の妻ヴィットリアを忘れられず、毎晩、彼女との結婚式の夢を見るのです。


偶然にヴィットリアと出会い、得意の話術でうまくいきかけたと思ったら、昔の恋人との関係を誤解され、元のもくあみに。悶々(もんもん)と過ごしていたある夜、アッティリオの家の電話が鳴ります。


ヴィットリアが仕事で出かけていたバグダッドで、イラク戦争の爆撃に巻き込まれ、意識不明の危篤状態になったとの報(しら)せでした。


そこからの展開は、まさにベニーニ流です。空港が封鎖されたバグダッドに、あの手この手でたどり着き、治療薬も点滴も酸素ボンベもない中で、ヴィットリアの命の灯(ひ)を守るために飛び回るのです。


「自分の愛する人を守る」という一途(いちず)な思いが、奇跡を起こします。テロを警戒する米兵とのやりとり、地雷原でのステップなど、笑いを盛り込みながら、戦争の悲惨さ、愛の強さを訴えます。


戦争やテロが絶えない二十一世紀。「家族愛と人間愛」を原点にしたベニーニのシネマの世界は一段と輝きを増しています。





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