私のすすめる一冊『人新世の「黙示録」』

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愛知保険医新聞 2026/9/5
斎藤幸平 著
出版 集英社
2026/4/6
産業革命から二百年以上が経過し、有限な地球資源を貪り続ける強欲資本主義によって人類が生存の危機に直面している現代は、二〇〇〇年に人新世と命名された。
本書は、はじめに―未来はファシズムだ!と警告するところから始まり、第一章:気候崩壊による恒久欠乏経済、第二章:テクノ資本主義で進むファシズ ム、第三章:「世界の終わり」と加速主義、第四章:計画経済が全体主義を連れてくるのか、第五章:「ハイエクの呪縛」を解くために、第六章:デジタル社会主義は可能か、第七章:ハイエクの盲点と「緑の戦時経済」、第八章:晩期マルクスの独裁論 第九章: エコロジー独裁への道、第十章:暗黒社会主義という希望、そして、おわりにー名もなき者たちの「黙示録」、と結んでいる。
崩壊したソ連とは全く異なる「参加型の計画経済」なるものを提案した著者は、既に幾つかの先行実践もあると語っている。ぐいぐいと引き込まれる圧巻の論述だ。マルクスの原典を紐解きながら教条主義に陥ることなく、刻一刻動く内外の見逃せない動向も捉えている。
一九八七年生まれの著者は勿論「氷河期世代」で二十世紀の民主化闘争には無緑だ。哲学者は政治の表舞台に出ることはないだろう。逆にそれが故に資本主義の悪弊を絶ちきる思想を提唱する立ち位置になったのかも知れない。
暗い時代に明るい光を灯す希有な頭脳の産出物といえる。





