top of page

私のすすめる一冊『独ソ戦:絶滅戦争の惨禍』

執筆者の写真: かゆかわクリニック院長 粥川裕平
かゆかわクリニック院長 粥川裕平
26 分前
読了時間: 1分

愛知保険医新聞 2020/4/5



大木毅 著

出版 岩波新書

2019/7/19



大東亜共栄圏(日本)、東方生存圏(ナチス独逸)を妄想し国民総動員で、実行に移したのが第二次世界大戦の極限だった。ナチスは波蘭からソ連へ、日本も真珠湾攻撃を開始し鬼畜米英と闘った。最大の決戦である独ソ戦でソ連軍は二千万人以上、独逸軍は数百万人以上の死者を出した。日独伊防共協定の枢軸国は敗北し、米英ソ仏の四国による連合国が、ヤルタ会談で戦後統治の方策を決めた。


大日本帝国に徴兵された叔父(母方)は、日ソ開戦で敗走し捕虜としてシベリアに抑留された。夏休みに母親の実家で叔父が語ってくれる話は、いつもモンテ・クリスト伯とジャンパルジャンだった。叔父は自らの辛い体験から理不尽な戦争に駆り出され、加えて虜囚の身となっても生存と帰国を諦めなかった思いを伝えようとしたのだろう。


「戦争とは他の手段をもってする政治の継続にほかならない」(クラウゼヴィッツ)は真理だ。だが、政治は経済の延長でもある。


本作は、独ソ戦をユダヤ人と共産主義の殲滅を目論むナチズムと「社会主義国」ソ連との絶滅戦争と位置付けたが、ナチズムもスターリニズムも、同床異夢の毒素だと教えた。今年の新書大賞に輝いたのも頷ける。





​カテゴリー一覧
 

bottom of page