私のすすめる一冊『THE COMING WAVE AI、 権力、人類の未来』

愛知保険医新聞 2026/9/15
ムスタファ・スレイマン 著
マイケル・バスカー 著
上杉 隼人 訳
発行元 日本経済新聞出版
2026/2/6
「NEXUS」でハラリはAIのAをalienと批判したが、数千頁に及ぶ膨大な量の文書を瞬時に要約するAIの威力には圧倒される。確かな外部情報処理装置だ。そんな思いを抱いている時にソフトバンクグループが十数兆円を投じ仏蘭西に大規模データセンターを建設すると報じられた。莫大な資金を投資する孫氏の目論見は何か。
こうした急速に進むAIの活用の全体像を俯瞰する書「THE COMING WAVE」(ムスタファス・レイマン著、日経ビジネス人文庫 二〇二四年)は、AIと合成生物学がもたらす一大変革と、危険な側面について緻密な記述をしている。博学多才な著者は、元Deep Mind社の創業者で最前線を知るが故に説得力がある。技術の進化をど封じ込めるかについても言及。
読みどころは、①二大技術の収束:AIの爆発的な進化と合成生物学の融合が人類社会に未曾有の波をもたらすと指摘。②「封じ込め」の難しさ:技術の恩恵を享受しつつ、それがもたらす破滅的な危険性(悪用や暴走)をどう制御し封じ込めるか。③メガテック企業の限界と統合的管理:一握りの巨大テック企業や、国家の枠を超えた技術の暴走を防ぐための、新しい国際的な規制や枠組みの必要性を訴える。
国家や企業がDX化を推進する中で、AIの活用に不安を抱かれる会員も少なくないと思われる。だが既にAI導入でリストラされる労働者が出ている。AIの嵐はもう始まっている。最先端のAIやバイオ技術がもたらす近未来の現実を知りたい方、技術の急速な発展に伴う倫理面や安全面を危惧する方には、お薦めの作品といえる。





