私のすすめる一冊『人工知能と経済の未来 2030年雇用大崩壊』
- かゆかわクリニック院長 粥川裕平

- 10 時間前
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愛知保険医新聞 2017/06/05
井上智洋 著
出版 文春新書
2016/07/21
将棋で名人がAIに負け話題になったが、二〇三○年雇用大崩壊とのサブタイトルが付いた衝撃的な一冊だ。医療情報の電子化というレベルではない。AI生産や労働を変えようとする欧米や日本の動向を紹介。機械学習の基本、ディープラーニングの成果について、そして日本が推進する「全脳アーキテクチャ」プロジェクトを解説。次にAIが経済に与える影響を論じ、二〇三〇年までを「特化型AIの時代」、それ以降を「汎用AIの時代」として位置づけ特化型AIがどのように経済を発展させ雇用を奪うかを論じている。リンダ・グラットンの「ワークシフト」の方がはるかに説得力に富むが、この著者も第四次産業革命を論じている。
二〇三〇年以降の「汎用AIの時代」は、(一)創造的仕事、(二)管理的業務、(三)歓待業務の三つだけしか人間労働は存続しない。経理や財務などの事務業務は不要となり、芸術家、管理者、医療・教育・福祉などの対人サービス業が残るだけだと。「全ての労働者は飢えて死ぬ、資本家階級全てを手にして資本主義は消滅する」とのまとめは多大の議論の余地を残す挑戦的な提言だ。
専門家によればAIは合意形成には有用でも創造性は皆無という。人類の持続可能性を前提にした技術開発論ではなさそうだ。人類はAIを幸せに生かし得るのか? 批判的に読むべき書である。「人口と日本経済」(吉川洋 中公新書 二〇一六年)と平行して読むと更に面白い。





