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院長コラム
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院長はこれまで、新聞連載や寄稿記事、専門誌、企業の社内報など、さまざまな媒体で執筆を続けてきました。
映画や文学を題材としたエッセイをはじめ、こころの健康や精神疾患、人間関係、社会問題などについて、それぞれの媒体の読者に向けて発信してきました。時代や読者層が異なっても、人間のこころへの関心は一貫しています。
このページでは、これまでに掲載されたコラムを媒体ごとにまとめています。それぞれの媒体でどのようなテーマが語られてきたのかをたどりながら、お読みいただければ幸いです。


第五十七回 風をつかまえた少年(2018年英国・マラウイ共和国合作)
『風をつかまえた少年』(2018年)は、アフリカ・マラウイ共和国で実際に起きた出来事をもとに制作された感動作である。2001年の大旱魃によって飢餓に苦しむ村で、理科好きの14歳の少年が、図書館で学んだ知識を生かして風力発電機を製作し、井戸から水をくみ上げて村を救う姿を描く。自然災害や貧困、森林破壊、食糧危機など現代社会が抱える問題を背景にしながらも、教育の力、再生可能エネルギー、環境問題、そして人間の創意工夫が未来を切り開く希望を伝えます。イソップ寓話「北風と太陽」と重ねながら、本作が現代社会へ投げかけるメッセージを考察します。
7月23日


成長◆音楽教師の人生の喜び
映画『陽のあたる教室』(1995年)は、一人の音楽教師が30年にわたり生徒たちと向き合いながら、自らも成長していく姿を描いた感動作である。作曲家を志して高校教師となったホランドは、当初は教育を生活のための仕事と考えていた。しかし、個性に応じた指導を重ねる中で、生徒たちの才能が開花し、教師としての喜びを見いだしていく。一方で、先天性難聴の息子との葛藤や家族との関係にも向き合い、音楽が人と人を結び付ける力を実感する。退職の日、教え子たちとの再会を通して、自分が残した最大の「作品」が生徒たちの人生そのものであったことに気づく。本作は、教育とは何か、教師の使命とは何かを問いかける名作である。
7月21日


第五十六回 サイドエフェクト
スティーヴン・ソダーバーグ監督の映画『サイド・エフェクト』(2013年)は、抗うつ薬の副作用をめぐる事件を軸に、医療倫理、精神医学、製薬業界、そして人間の欲望を描いた心理サスペンスである。インサイダー取引で服役した夫の出所後、うつ病歴のある妻が新薬を服用し、夢遊病状態で夫を刺殺したとされる事件が発生する。しかし、担当医が真相を追ううちに、事件の背後には巧妙に仕組まれた陰謀が浮かび上がる。本作は、精神疾患の診断の難しさや薬物療法のリスクだけでなく、「詐病」や医療過誤、株価操作まで絡めた重層的な物語を展開する。さらに、イソップ寓話「藪医者」を引用しながら、「医療とは何か」「薬との向き合い方とは何か」を考えさせる示唆に富んだ作品である。
7月18日


私のすすめる一冊『人類の進化が病を生んだ』
『人類の進化が病を生んだ』は、サイエンスライターのジェレミー・テイラーが、進化医学(Evolutionary Medicine)の視点から人間の病気の成り立ちを読み解いた科学読み物である。自己免疫疾患やアレルギー、不妊症、腰痛、眼疾患、がん、心臓病、アルツハイマー病など、多くの疾患を進化生物学の観点から考察し、「進化は健康ではなく生殖の成功を優先する」という進化論の基本原理をわかりやすく解説する。現代社会と人類の進化速度とのミスマッチが病気を生み出しているという視点は、従来の機械論的な疾病観に新たな問いを投げかける。医学・生物学に関心を持つ読者はもちろん、病気をより深く理解したい一般読者にも示唆に富む一冊である。
7月16日


孤独◆老後への気づき大切
イングマル・ベルイマン監督の名作『野いちご』(1957年)は、老年期における孤独と人生の回顧、そして家族との和解を詩情豊かに描いた傑作である。名誉博士号授与のため旅に出た老医師イサクは、旅の途中で過去の思い出や悪夢、さまざまな人々との出会いを通して、自らが築いてきた人生を見つめ直していく。夢と現実が交錯する独特の映像表現の中で、孤独の原因は他者ではなく、自らの生き方にあることが静かに浮かび上がる。人生100年時代といわれる現代において、本作は老後の孤独を防ぐために必要なのは、自分自身への気づきと他者とのつながりであることを深く問いかける、時代を超えた名作である。
7月14日


書評『睡眠のなぜ?に答える本 もっと知ろう!やってみよう!!快眠のための12ポイント』
『睡眠のなぜ?に答える本 もっと知ろう!やってみよう!! 快眠のための12ポイント』は、睡眠健康推進機構の大川匡子機構長、高橋清久前機構長の監修のもと、日本睡眠学会理事長・内山真先生をはじめとする睡眠医学の第一線の専門家が執筆した睡眠健康の実践書である。「質の良い睡眠は今日の疲れを癒し、明日への活力を生みます」という監修者の言葉を軸に、睡眠の基礎知識から快眠のための具体的な12のポイント、睡眠薬の正しい使い方、シフトワークや災害時の睡眠対策まで、科学的根拠に基づいて分かりやすく解説している。豊富な「睡眠物知りコラム」も読みやすく、子どもから高齢者まで幅広い世代の睡眠の悩みに応える内容となっている。睡眠不足や不眠が社会問題となる現代において、「眠り方改革」の重要性を提言する啓発書として、多くの人に薦めたい一冊である。
7月10日


ふるさと◆身近な美しさを再発見
『イル・ポスティーノ』(1994年)は、イタリアの小さな島を舞台に、一人の青年が詩人との出会いを通して、自らの人生と故郷の価値を見つめ直していく珠玉のヒューマンドラマである。政治亡命中のチリの詩人パブロ・ネルーダと、郵便配達人マリオとの世代を超えた友情は、詩の力によって青年の感性を育み、身近すぎて気づかなかった故郷の美しさを教えてくれる。恋や人生、社会への眼差しを深めながら成長するマリオの姿は、多くの人の心を打つ。主演のマッシモ・トロイージは重い心臓病を抱えながら本作を完成させ、公開直後に逝去した。その背景を知ると、フィリップ・ノワレとの温かな共演は一層深い感動を与えてくれる。故郷とは何か、人との出会いが人生をどう変えるのかを問いかける、不朽の名作である。
7月8日


書評『新型コロナ最前線 自治体職員の証言2020-2023』
『新型コロナ最前線 自治体職員の証言2020-2023』は、新型コロナウイルス感染症の最前線で住民の命と暮らしを支え続けた自治体職員41人の証言をまとめた記録である。保健所や医療機関、消防、保育・学童保育、介護・福祉、ごみ収集、本庁業務など、多様な現場から寄せられた体験を通して、パンデミック下における自治体行政の実態と課題を浮き彫りにする。さらに、自治体の役割や公衆衛生行政、非正規雇用、災害時の公務員の責務などを多角的に論じ、「公共」のあり方を問い直している。現場の当事者だからこそ語れる切実な証言には、行政運営や危機管理への重要な示唆が込められている。コロナ禍の経験を風化させず、今後の公衆衛生や自治体行政を考えるうえで、多くの示唆を与える一冊である。
7月4日
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